麻薬・いじめ・虐待…それでも少年は成長する オスカーレース席巻の話題作公開決定
貧困地域に生まれ、ドラッグ、いじめ、虐待などさまざまな問題に傷つきながらも力強く生きる少年の人生を描き出し、現在オスカー戦線をにぎわせている話題作が、『ムーンライト』の邦題で2017年に日本公開されることが明らかになった。
本作の主人公は、米マイアミで麻薬常習者の母親と暮らす黒人少年シャロン。母親のポーラからは育児放棄され、学校ではいじめられているシャロンの救いは、近所に住む麻薬ディーラーの男とその妻、そしてたった一人の男友達ケビンとの絆のみ。そんな日々の中でシャロンは、ケビンに惹かれている自分に気づきさらに葛藤することに。そして、ある事件によって彼の人生は大きくゆさぶられる……。
自分の居場所とアイデンティティーを探す少年の成長を、少年期、ティーンエージャー期、大人になるまでの3つの時代構成で描いた本作は映画祭でも絶賛され、オスカーレースのスタートを告げるゴッサム・インディペンデント映画賞では、作品賞をはじめ最多4部門で受賞。インディペンデント・スピリット賞では最多6部門でノミネート、放送映画批評家協会賞では10部門でノミネートを果たした。
さらにニューヨーク映画批評家協会賞で監督賞、撮影賞、助演男優賞の3部門で受賞。また今週発表された、ロサンゼルス映画批評家協会賞では、作品賞、監督賞、助演男優賞、撮影賞の最多4部門で受賞を果たすなど、まさに快進撃。現地時間12日に発表されるゴールデン・グローブ賞でも多くの部門でノミネートを果たすのは確実で、オスカーレースを席巻している。
バリー・ジェンキンスが脚本と監督を務め、製作総指揮は、自身の製作会社プラン・B・エンターテインメントでオスカー候補作を生み出し続けている俳優ブラッド・ピット。麻薬常習者の母親を『007』シリーズのマネーペニー役で知られるナオミ・ハリス、主人公の少年の面倒を見る麻薬ディーラーを人気ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」などのマハーシャラ・アリが演じており、人気俳優たちのいつもと一味違った演技も見どころになりそうだ。(編集部・入倉功一)