上野樹里の韓国進出作 韓流アイドルもファン化するフィーバーぶり
昨年はロックバンドTRICERATOPSのボーカル・和田唱との結婚や、義理の母である平野レミとのユニークな嫁姑話などで話題を集めた上野樹里。映画『お父さんと伊藤さん』『青空エール』や、香取慎吾と共演したドラマ「家族ノカタチ」などの出演作の公開も相次いでいた彼女だが、お隣の国韓国でも着実に人気を獲得している。
もともと上野が韓国でヒットしたきっかけには、映画『スウィングガールズ』(2004)やテレビドラマ「のだめカンタービレ」(2006)が同国で放映され、人気を博していたことが関係している。まだ本格的に韓国への進出を果たしていなかった2008年の時点で、第13回釜山国際映画祭のレッドカーペットに彼女が現れた際には現地のファンから大声援が送られたほど。人気ぶりを具体的に言うと、映画祭のオープニング時点で彼女の出演作『グーグーだって猫である』のチケットが一番売れていると映画祭側から発表があったくらいだ。
そして上野は、韓国のMBCテレビで放送されたバラエティー番組「私たち結婚しました」に出演。芸能人同士が仮想結婚をし、本当の夫婦さながらに新婚生活を送る模様を描く本番組の中で、上野が登場したのは放送終了後の今も“ヨンソカップル”という愛称で親しまれている「ジョン・ヨンファ(CNBLUE)とソヒョン(少女時代)の私たち結婚しました」(2010年に開始)。NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国」が2011年の作品だったため、その前から韓国のバラエティー番組に進出していたことになる。なお上野はヨンファとソヒョンが寿司デートを楽しむシーンで、店の従業員にふんして二人の前に現われる。そのときの韓流アイドルの二人の反応はファンそのものであり、いかに上野フィーバーがきていたのかがわかる一幕となっている。
そんな上野が本格的に韓国映画デビューを果たしたのは、昨年日本でも公開された映画『ビューティー・インサイド』(韓国公開:2015年8月20日)。同作は、眠りから目が覚めると外見が変わってしまう主人公の恋を描いたファンタジックラブストーリー。モンタージュを含む123人の俳優が1人のキャラクターを演じるという一風変わった設定で、上野は、目覚めるたびに外見が変わるウジン役の1人として登場した。本映画が出品された2015年のカンヌ国際映画祭のマーケットでは、世界のバイヤーから評価を得て世界11か国の先行販売が決定した。
だが同時期、上野は“とにかく韓国進出を目指していた”というわけではないようだった。2015年11月掲載の弊社インタビューで、上野は「わたしが望んでということではなく、日本と同じで向こうから依頼を頂いてからスタートするものなので、『こういうことがしたい』と進めたことは今まで一度もありません。企画というのはそういう風に出来上がるものではなく、何年も前に動いていたことがちょうどいいタイミングで形になって……というものだと思っているので、本当に縁だなっていつも思うんです」と語っている。
その縁によってつながった作品が、日本のアミューズと韓国のCJ E&Mがグローバルプロジェクトとして世界に向けて制作したドラマ「シークレット・メッセージ」。本作は2015年秋に韓国、タイ、台湾で公開され、日本ではdTVで独占配信された。東京とソウル、離れた場所で暮らす男女が、スマホに届いたひとつのメッセージをきっかけに偶然の出会いを果たし、お互いの顔も知らないままいつしか惹かれ合っていくラブストーリーが展開。T.O.P(BIGBANG)との共演作としても注目を浴びた今作で、上野は初恋の人との別れ以来心に傷を抱え、スランプ状態にある舞台女優ハルカを演じていた。同作がタイや台湾で公開されたようにアジア圏でも着実に上野樹里という名は広まりつつある。今後はどのようなフィールドで上野フィーバーが起こるのだろうか。(編集部・井本早紀)