謎だらけのアーティストをどう演じる?新人俳優がみせた役づくり
ドラマ「ROOKIES ルーキーズ」の主題歌だったヒット曲「キセキ」誕生にまつわる人間ドラマを描く映画『キセキ -あの日のソビト-』で、ボーカルグループ「グリーンボーイズ」の一員を演じた杉野遥亮が、その役づくりについて語った。
【歌入り】映画『キセキ -あの日のソビト-』本編特別動画「道」Short ver.
本作は、素顔も本名も明かさず2007年にメジャーデビューしたGReeeeNが結成され、「歯科医と歌手」というあまりに異色な二足のわらじを履くに至り、人気アーティストとなる姿を描く青春映画でもある。この映画で杉野はグリーンボーイズのソウを演じるにあたって本人と直接対面することはなかったものの、「実際にGReeeeNさんがレコーディングをしている映像を見せていただきました」と明かす。
レコーディングの作業を映像で見ることで「SOHさんのグループ内での立ち位置も、なんとなくつかめた気がします。物静かなのですが、たまに面白いことを言う感じとか。SOHさんはボーカルとしては低音のパートで音楽では全体を支える役割ですが、それ以外のときも、多くを語るタイプではないけど的確な発言で皆を支える人なのかなと。落ち着いた方でしたね」と謎めいたメンバーの素顔に触れた印象を語る。
監督からは、そんなSOHとの共通点を指摘されたそうで「僕自身のキャラクターがSOHさんに近いとおっしゃっていただき、それが映画の中のソウというキャラクターをつくる上でとても励みになりました」と打ち明ける。彼自身は慣れない取材に緊張して手にハンカチを握りしめる初々しさで、彼がSOH本人から感じた「落ち着き」とは相容れないように思えるが、「確かに僕自身は落ち着いて……はいないかも(笑)。でも落ち着いた人に見えるように頑張りました!」と笑顔を見せる。
そこで撮影に入る前に監督から「ソウの履歴書を書いてみて」というアドバイスを受け、「自分なりに考えて書いたことが、演じる上でとてもためになりました」と打ち明ける。映画初出演で本格的なお芝居もほぼ初めて、演技というものと格闘した彼の「軌跡」が、この映画へ確かに刻まれている。(取材・文:浅見祥子)
映画『キセキ -あの日のソビト-』は1月28日より全国公開