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18禁映画を作る難しさ…韓国の鬼才パク・チャヌク監督が官能衝撃作を語る

日本人令嬢・秀子の名前は故・高峰秀子さんから - パク・チャヌク監督
日本人令嬢・秀子の名前は故・高峰秀子さんから - パク・チャヌク監督

 2013年の『イノセント・ガーデン』でハリウッドに進出した韓国の鬼才パク・チャヌク監督が、7年ぶりに韓国で撮影した衝撃作『お嬢さん』について語った。

【写真】体当たりで演じた女優陣

 本作は、美しく純真な令嬢・秀子と、その財産を狙う詐欺師、そして侍女になりすました孤児がだまし合いを繰り広げる官能サスペンス。“お嬢さん”と呼ばれる日本人令嬢・秀子を演じるのはホン・サンス監督の『オン・ザ・ビーチ・アット・ナイト・アローン(英題) / On the Beach at Night Alone』で第67回ベルリン国際映画祭の銀熊賞・最優秀女優賞を受賞したキム・ミニ。そして侍女のスッキには、1,500人からのオーディションで抜てきされた新人キム・テリがふんしている。

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 この女優二人の美しくも官能的なぬれ場シーンは、あまりにも濃密でエロチック。そのため韓国では成人映画指定(R19)で公開されており、日本でもR18+での上映が予定されている。「本当は15歳以上が観られるようにできれば良かったんですが、制度は自分自身では変えることはできないから。その点は仕方なかったかなと思います」と語る通り、パク監督が妥協せずに追求した本作の官能描写は、匂い立つようなエロチックさに包まれている。

 パク監督は「世界中どこでも同じ状況だと思うんですが、女優さんは皆さん、脱ぐのは好きじゃないものですよね。韓国でも、女優さんが広告などの契約があればそれはなお難しくなりますしね」とエロチックな作品を制作する難しさを認めつつも、「そのためには女優さんにも勇気が必要になってきます。でも勇気のある女優さんは、作品の力を信じて、この役を演じきるんだという強い気持ちで出演をしてくださる。だからそういう女優さんは大事にしてあげないといけない」と二人の女優を称賛する。

 原案となったのは、英国の作家サラ・ウォーターズの傑作「荊の城」。原作の舞台は19世紀半ばのイギリスだったが、本作では日本統治時代の韓国に舞台を移し替えている。「原作にあったイギリスで撮るのも面白かったとは思うんですが、今回、日帝時代の韓国で撮ることで、緊張感が増したように思います。つまり片方は支配をしている側の国民で、もう片方は支配されている側の国民という関係性なので、人物同士の緊張関係がどんどん高まっていく。結果的に映画が豊かになったので良かった」と笑顔を見せる。

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 海外メディアでは、パク監督の最新作として、故・伊藤計劃さんの小説「虐殺器官」の実写化作品を準備している、というニュースが流れた。そのことについて尋ねると、「『虐殺器官』に関しては、出資や制作の環境が整っていないので、正式な発表ではないんですが、わたしが撮りたいと思っている映画なのは事実」と認めたパク監督。「しかし作るとなるとかなり規模が大きくなりそうで、制作費もかなりかかることが予想されます。なので、うまく出資の話がまとまればいいなと思っています」と期待をあおった。(取材・文:壬生智裕)

映画『お嬢さん』は3月3日より全国公開

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