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“友達”削除で呪われてしまった女子大生…戦慄SNSホラーが描いたもの

後ろに…(『デッド・フレンド・リクエスト』より)
後ろに…(『デッド・フレンド・リクエスト』より) - (C) 2015 Wiedemann & Berg Film GmbH & Co. KG / SevenPictures Film GmbH / TOPFILM 120 (PTY) LTD.

 SNSの「友達」が800人以上、ルームメイトたちと賑やかな共同生活を送り、研修医の彼氏との恋愛も順調というリア充な女子大生ローラの身に、「友達」0人の同級生マリーナからの申請を承認したことで次から次へと呪いが降りかかっていくという、ソーシャルネットワークの恐怖を描いたホラー映画『デッド・フレンド・リクエスト』。脚本を共同執筆したニューヨーク在住の脚本家マシュー・バレンが、本作の製作背景や自身のホラー映画愛について語った。

画像テキスト
インタビューに応じたマシュー・バレン - (C)Drew Carlson

 バレンは、メガホンを取ったドイツ人監督のサイモン・ヴァーホーヴェンと映画学校時代からの友達だったという。脚本投稿サイト Script Shadow に掲載されたバレンの脚本で、マゾっけのある少年が連続殺人鬼のレズビアンカップルに誘拐されるというカルト作品「ファッティーズ(原題)/ Fatties」を読んで気に入った監督が、バレンをプロデューサーに紹介し、脚本家チームに加わることになったんだそう。今回、監督があらすじを書き、もう1人の脚本家が第一稿にまとめていたものを、バレンが1日でブラッシュアップして脚本の形に仕上げたとのことで、「その日の夜に3人で集まり、徹底的に話し合った。通常、脚本執筆は孤独な作業だけど、監督経験も豊かな2人と共同作業できたことで、すごく楽しいスタートを切れた」と当初の様子を振り返る。

 「サイモンは、ソーシャルメディア上の人間関係やそこで生じる孤独感の問題に関心を持っていて、SNSを題材にした映画のアイデアを練っていた。本来、友情とは、信頼関係や何かの体験を共有することに深く基づいたものだけれど、例えばFacebookでは、クリック1つで『友達』になれる。気軽なつもりの1クリックが、ある人にとって深刻な意味を持つものだったらどうなるか、というテーマを描きたかった」と明かす。

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 本作の主人公ローラは、気軽にSNSにプライベートライフの様子を投稿。誕生日パーティーに招かれなかったと言いがかりをつけるマリーナを「友達」から削除すると、それにショックを受けたマリーナは自殺を遂げる。まさに、「1クリック」の温度差が不幸をもたらした結果だった。バレンのTwitterには1,500人以上のフォロワーがおり、自身も積極的にSNS活動している1人だ。

 ソーシャルメディアについて「人とつながっている感覚を持てる点はすごく好きだけれど、同時に常にストーカーされているように感じることもある。自分が投稿した写真を誰が見ているのか、それを見た人が楽しんでくれているのか、それとも嫉妬や怒りを感じているのか分からない。人とつながることのリスクは高い。実生活でも人はいくつも仮面をかぶって生活しているのに、その上ネットでも偽装をすることで真の姿はさらに複雑化している」と自身の考えを述べる。

 さらに「本作がネット上での言動には注意すべき、という警鐘を鳴らしているのは明らかだが、観る人たちがそれぞれのメッセージを読み取ってくれればいいと思う。我々はいとも簡単に他人のことを変人扱いしたりするけど、彼らにはそう見える理由や事情がある、というのが僕にとってのこの映画の解釈だ」とも語った。

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 自身も大のホラー映画好きだというバレン。「80年代のホラー映画を観て育ってきた世代だから、特別な思い入れがある。『エルム街の悪夢』などの定番中の定番や『ナイト・オブ・ザ・コメット』(日本劇場未公開)などのカルトホラーも大好き。(デヴィッド・)クローネンバーグ監督の『戦慄の絆』などのサイコ系や、1959年のフランスのホラー映画『顔のない眼』にも心酔したよ」。さらには、ジャパニーズホラーの大ファンでもあり、「『リング』『オーディション』『HOUSE ハウス』などには、すごい衝撃を受けた。また、映画以外でも、ホラー漫画家・伊藤潤二のコミック『うずまき』の、美しくてダークで不条理な世界のファンで、できればテレビシリーズ化したいと考えているほど」なんだとか。

 現在は、本作の監督と次作のホラー映画や、バレンにとって監督デビュー作となる予定のアクションホラー映画のアイデアを練っているところだそうで、「復讐をモチーフにした韓国映画の『悪魔を見た』や『オールド・ボーイ』といった映画にインスパイアされた作品」になるとのことだ。

 バレンも「すごく気に入った」という『デッド・フレンド・リクエスト』の日本版予告に「怖すぎる」という感想がすでにネットで広まっている。公開を心待ちにしている日本のファンに向けて「恐怖を感じるということは、映画館で味わうことのできるもっとも原始的で美しい体験だよ」と話すバレン。また「映画館で観たいが一人で行くのは怖い。ホラー映画を一緒に見てくれる友達がいない」という声も寄せられていたが、「ネットでホラー映画好きの友達を見つけて、オフラインで会うのもいいんじゃないかな。SNSの友達がいつも呪いを招くとは限らないしさ」ともアドバイスしていた。(鯨岡孝子)

『デッド・フレンド・リクエスト』は、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開中、シネ・リーブル梅田にて2月18日より公開

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