金熊賞大本命はインチキ寿司レストラン移民映画!?
第67回ベルリン国際映画祭
現地時間14日、第67回ベルリン国際映画祭でコンペティション部門に出品されているフィンランド、ドイツ合作映画『ジ・アザー・サイド・オブ・ホープ(英題) / The Other Side of Hope』のアキ・カウリスマキ監督、出演のシャーワン・ハジ、サカリ・クオスマネンが会見を行った。
会見は、フィンランドの巨匠カウリスマキ監督に対する司会者からの「9回のフォーラム部門参加に続いて初のコンペにようこそ。バレンタインデーのこの日、ベルリン映画祭はあなたを本当に愛しています」という熱烈な歓迎の言葉で幕を開けた。
本作は、人生の新しい門出を迎えたフィンランドの中年男性(サカリ)とシリアから逃げのびてきた青年(シャーワン)、それぞれの物語。二人が経営者と従業員となるレストランの売り上げを好転させるため、にわか仕込みのいかにもインチキな寿司レストランにしてしまう展開で笑わせつつ、移民の現状を描く。
カウリスマキ監督が冗談めかして「ハンサムな顔立ちと演技力で決めました」という俳優陣もユーモアたっぷりで、サカリが「フィンランドのタンゴを聴きたいかい?」と朗々と歌いだす一幕も。
一方、シャーワンは国境を越えることに非常な苦労を強いられるキャラクターを演じているが、映画界は別だとして「サッカーと同じで、それぞれのやり方はもちろん違っていますが、一緒にプレイすることができるのです」とカウリスマキ監督作に出演できた喜びを語った。
過去にも難民を扱った作品があり、観客の難民への見方を変えたいという発言をしているカウリスマキ監督だが「控えめにそう言いました。本当は世界を変えたいのです」とのこと。映画界では影響力を持つ巨匠だが、現実を前にしてはどうにもできない歯がゆさがあるようだ。
カウリスマキ監督に「ありがとう」と日本語で声をかける日本人記者や、会見後に監督にもらったサインを誇らしげに見せて回る海外記者などもいて、この巨匠がいかに敬愛されているかがうかがえる会見となった。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
第67回ベルリン国際映画祭は現地時間19日まで開催