『それでも夜は明ける』脚本家が手掛けた話題のドラマとは
映画『それでも夜は明ける』でアカデミー賞脚色賞を受賞したジョン・リドリーが監督・製作総指揮を務めた全6話のミニシリーズ「ゲリラ(原題) / Guerrilla」について、主演のフリーダ・ピントが4月3日(現地時間)ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。
本作は、1970年代のロンドンを背景に描いたドラマ。政治活動を行っていたジャス(フリーダ)とマーカス(バボー・シセイ)は政治犯を解放し、地下組織を結成するが、そんな二人の活動を警察公安部の秘密諜報部が鎮圧していく。人気俳優のイドリス・エルバが出演・製作総指揮も務めた。
監督や製作だけでなく5話の脚本を執筆したリドリー監督について、フリーダは「ジョンは適切なチームを揃える才能を持っている。それはこのエンターテインメント業界では重要なことよ。特に、今作のように勇敢で大胆なストーリーを描くには、同様に勇敢で大胆なチームを揃えることが必要なの」と答え、すべての分野に関わるリドリー監督に感心したようだ。
今作は史実を基にしつつ、オリジナル要素が盛り込まれている。「今作は1971年に制定されたイギリスの移民法後が舞台なの。(作中の設定では)当時、祖父母や両親がオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカで生まれた人々はペイトリアル(法的にイギリス市民とみなされる権利を持つ人)に、アフリカの植民地だった国から移住してきた人々はノンペイトリアル(法的にイギリス市民とみなされない人)に分けられ、ノンペイトリアルはイギリス人らしくないとして、国外追放の危険にさらされていた。そんな状況下で、移民法に対して黒人至上主義運動が起きていくの」。実際の運動は文学的なもので、暴力的なものは少なかったが、今作では「当時の黒人至上主義運動が、より急進的だったら」という設定で描かれている。
最後にフリーダは、今作で学んだことについて「一つは歴史上の出来事であるイギリスの移民法。もう一つは、イギリスの黒人至上主義運動が、ブラックパンサーによる活動の影響を受け、1960年代にはマーティン・ルーサー・キングがイギリスで講義し、後の革命家に影響を与えたこと」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)