クリスチャン・ベイルとオスカー・アイザックが三角関係に…アルメニア人虐殺を描いたドラマとは
映画『ホテル・ルワンダ』のテリー・ジョージが監督を務めた話題作『ザ・プロミス(原題) / The Promise』について、クリスチャン・ベイルとオスカー・アイザックが、4月19日(現地時間)ニューヨークのウィットビー・ホテル開催の記者会見で語った。
本作は、オスマン帝国の衰退期を舞台に、聡明な医学生ミカエル(オスカー)と女性アナ(シャルロット・ル・ボン)、アメリカ人ジャーナリスト、クリス(クリスチャン)の三角関係と、オスマン帝国下でアルメニア人が虐殺された事実を交錯させて描いたドラマ。
オスカーは、出演経緯について「恥ずかしいことに、今作に関わるまでアルメニア人の虐殺について知らなかった。脚本を読んで恐ろしいと感じたのは、世界はこの虐殺に関して、当時特に何もしていなかったということだ。今日でもオスマン帝国後のトルコでは、この虐殺を否定している。それらが大きな出演理由で、その他に素晴らしいキャスト陣が参加していたことや、今作の興行がさまざまな非営利団体に寄付されることもきっかけになった」と答え、さらに、アルメニアの生存者のインタビュー映像を演技上で参考にしたことも語った。
今作で心を揺さぶられたシーンについて、クリスチャンは「ミカエルがホームタウンに戻った際に、家族と隣人が近くにある川の前で惨殺されていたのを発見した場面」と振り返る。「あのシーンは多くの人々がとても感情的になるシーンだ。特に、そんなアルメニア人の悲劇を経験した家族を持つ人々は、どのシーンよりも印象に残ると思う」。一方、オスカーは「船で移動中にオスマン帝国の攻撃に遭い、海にアナが投げ出され、僕(ミカエル)が彼女を追って海に飛び込むシーン」と答え、「ちょうどこのシーンの撮影中に、妻と子供が海に投げ出されたシリアの避難民の男性が、彼らを救おうとしたものの、結局助けられずに全員が海で溺れた事故があって、このシーンの意味合いが、僕に重くのしかかってきた」と明かした。
これまで数々の役柄に挑戦してきたクリスチャンは、今作のジャーナリスト役について「トランプ大統領の就任から、民主主義の中でどれだけ報道の自由を持てるかということが、いかに重要かを再確認することになった。今作でクリスは報道の自由について葛藤を経て、アルメニア人の状況を伝えることになるが、その行為は今日の(正当性を追求した)報道にも通じるはずだ」と語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)