『この世界の片隅に』片渕須直監督、「DVDはまだ出せません」と沖縄で呼びかけ
沖縄で開催中の「島ぜんぶでおーきな祭 第9回沖縄国際映画祭」で21日に行われた映画『この世界の片隅に』のトークショーに片渕須直監督が登場、沖縄での上映、そして平和への思いを語った。
【写真】『この世界の片隅に』片渕須直監督、桜坂劇場での色あせたポスターに万感の思い
上映会場となった桜坂劇場ではすでに100回を超えるロングラン上映中。片渕監督は「この劇場ですでに100回以上上映していただいて、ポスターがすっかり色あせているのを見ました。そのポスターからこんなにも長い間、一つの作品をずっと上映してくださっているありがたさを感じることができ、とても感謝しています」と笑顔であいさつ。
「沖縄でこうしてあいさつをできることに非常に大きな意義を感じています」と話した片渕監督は、「72年前の今日4月21日は、伊江島がアメリカ軍に全面侵略された日です。戦争が起きる前の日々にはどんな平和や幸せがあったのだろうかということを大切にしたいと思っております」と本映画祭の「ラブアンドピース」というテーマにおける平和への思いを語った。
この日は作品の大ファンだというお笑いコンビ、バッファロー吾郎の竹若元博が登場。「皆さんも同じ思いだと思うんですが、それぞれの舞台となる街の姿、そこに暮らしている人たちがすごくリアルに描かれていて、何かを考えさせられるというよりも、感じることができた映画だと印象的でした」と映画の感想を語った。
DVD化を切望する声も上がっている本作だが、監督は「正直なところ、DVDやブルーレイはそんなにすぐには出せません」と本音を告白。「何よりも、この桜坂劇場のような映画館という空間の中で映画を体験していただきたい。リピーターの方も多いのですが1回目を観たときと、2回目、3回目を観たときと印象が違うと言っていただくことが多いんです。映画の中で描かれている世界を何度も体験していただくことが大切なんだろうなと思います」と劇場体験への思いを観客に語りかけた。
上映後に行われたサイン会には多くの観客が列を作り、「本当に来てよかった。とてもいい作品でした」と涙ながらに語りかける姿も見られた。(森田真帆)
「島ぜんぶでおーきな祭 第9回沖縄国際映画祭」は4月23日まで沖縄各地にて開催