イタリアで鈴木清順監督の追悼上映に観客詰めかける…世界各国でも続々開催決定
イタリアで開催された第19回ウディネ・ファーイースト映画祭にて、今年2月に亡くなった鈴木清順監督(享年93)を悼み、宍戸錠主演『殺しの烙印』(1967)が追悼上映され、多くの観客が会場に詰めかけた。
同作は、殺し屋たちがナンバー1の座を巡ってしのぎを削るハードボイルド。シュール過ぎて当時の日活社長に受け入れられず、清順監督が同社を解雇される騒動となった問題作だ(のちに和解)。だが、本作に影響を受けた映画監督は多く、ジム・ジャームッシュ監督は、同じく殺し屋を主人公にした『ゴースト・ドッグ』(1999)を製作している。
今回は、『殺しの烙印』製作50年記念も兼ねており、米国の老舗映画会社クライテリオンが日活の協力を得て行われたリストア版で上映された。また、同映画祭では第7回(2005)に日活アクション特集を行い、宍戸が現地入りしている。
同様に、他の国際映画祭でも清順監督の追悼上映が決定している。中国の第20回上海国際映画祭(6月17日~26日)では『東京流れ者』(1966)、スイスの第17回ヌシャテル国際ファンタスティック映画祭(6月30日~7月8日)では『殺しの烙印』『東京流れ者』、『野獣の青春』(1963)、『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』(1963)、『肉体の門』(1964)、『けんかえれじい』(1966)の6作が上映されるという。
日活国際事業部よると、他の映画祭からも続々と問い合わせが寄せられているそうで、この世を去ってなお一層、清順監督の人気ぶりを見せつけており、若い世代にとっても日本を代表する伝説の鬼才に触れるまたとない機会となりそうだ。(取材・文:中山治美)