山里亮太、キモキャラから変化?絶好調の“声の仕事”も「不安しかない」
ハリウッド超大作『パワーレンジャー』で、レンジャーたちをサポートするロボット・アルファ5の吹き替えを担当したお笑いコンビ・南海キャンディーズの山里亮太。これまでにも声優を経験しているが、ほとんどが悪役。本作のように正義のヒーローチームとして参戦するのは初めてだという。最近では子ども向け番組への出演も多く、「小さい子たちには嫌われている」という自身の評価とは真逆の活躍だ。本人はこうした状況をどう認識しているのだろうか。
「これまで悪役とかストーカーとかの役ばっかりだったので、話をいただいたときは、『ついに正義のチームに入れたんだ』ってすごくうれしかったです」と笑顔で語った山里。しかも、本作をはじめ、ここ1~2年『スーパー戦隊』シリーズや、『プリキュア』シリーズなどへの出演も果たしており、子ども向け作品での活躍が目立っている。
山里といえば、以前は“キモキャラ”として人気を博していたが、近ごろは頭の回転の速さを活かしたツッコミや話術がフィーチャーされることが多くなり、幅広い層から支持を受けている印象がある。こうしたパブリックイメージの変化が、子ども番組やヒーローものへのオファーにつながっているではないかとぶつけると「昔は『気持ち悪い』とか『アイドルオタク』とか『相方のバーター』なんて言われていたのですが、いまは“気持ちが悪い”というだけで呼ばれることはなくなったという感じはあります」と変化を自覚しつつも、「でもおっしゃるほど好感度なんて上がっていませんよ。根底には器が小さいところがあるから、そこを面白がってくれているだけだと思いますよ」と謙遜する。
それでも「自分も子どものころ、戦隊ものとかを見て一喜一憂していたので、そういう対象になれているのはすごくうれしいです」と目を輝かせる。だが一方で、大きな不安もある。「僕は演技力がないというコンプレックスがあるんです」と語り出すと山里は「“声優さん最強説”が僕のなかにあって、宮野(真守)くんや山寺(宏一)さんとか、文字のぶち込み方の桁が違うじゃないですか。まったく違う生き物。本作も、沢城みゆきさんや、杉田智和さん、水樹奈々さんなどすごい方たちがいるなかで、本当に作品の邪魔をしたくないという気持ちが強いんです」と切実な顔で訴える。
そんな山里だが、情報番組「スッキリ!!」の天の声や「密室謎解きバラエティー 脱出ゲームDERO!」のナレーションをはじめ、近年、声の仕事が好調だ。「ナレーションとか声だけの出演というのは、限りなく僕のやっている芸人という仕事の延長線上にあると思っているんです。でも声優の仕事って、山里亮太の壁を超えてやらないと、存在自体が作品の邪魔になっちゃう。その意味では、同じ声の仕事でも声優業は違いますね。もう一要素必要になってくるんです」と冷静に分析する。
本作の声優挑戦に、何度も「不安でしかない」と口にしていた山里だが、「こうして呼んでいただいたからには、どんなことでも頑張るしかない」と意を決したという。公開アフレコでは監督から強烈なダメ出しをされていたが「そのダメさが活字になって、少しでも多くの人の目に留まってくれたらこの作品の宣伝になる」と笑顔で語る。「本当に良い作品なので、僕は違和感になりたくない」という山里の思いによって命が吹き込まれたアルファ5の活躍に注目だ。(取材・文・写真:磯部正和)
映画『パワーレンジャー』は7月15日より公開