ジョニデ娘の初キスシーンを奪ってしまった!仏女優の困惑と喜び
19世紀末のパリで芸術家たちを熱狂させたダンサー、ロイ・フラーの人生を描いた映画『ザ・ダンサー』で主演を務めたソコがインタビューに応じ、劇中では複雑な関係を築くことになる、ジョニー・デップの愛娘ことリリー=ローズ・デップとの共演について語った。
女性によるダンスが卑しいものとされていた時代に、シルクのドレスや照明を用いた創作ダンスで人々を魅了したロイの人生に迫る本作。リリー=ローズが演じたのは、ロイにその才能を見出されながらも、最大のライバルとなっていく天性のダンサー、イザドラ・ダンカンだ。「私とリリーは共演前から友達だったの。私は彼女がイザドラ・ダンカン役にふさわしいと思ってた。彼女にはカリスマ性があるし、とても大人びているから。それに、リリーは敵役を演じるがすきなのよ。敵とまではいかないけど、すべてをめちゃくちゃにする役どころを楽しんでいるのよね」とリリーの素顔を明かすソコ。
「ロイはイザドラに出会って、ダンスをあきらめるわけじゃない? イザドラこそが未来だと思って。それこそ私も、リリーといるときにそう感じるのよ。彼女はとても若いのに、すごく大人なの。考え方もとても進んでいる。彼女は体型のことも、セクシュアリティーのことも気楽に構えている。何でも話すし、ヌードも気にしない。何て言ったらいいのかわからないけど、彼女は本当に自由な人。それって、イザドラ・ダンカンにとても通じる。人々がコルセットを着ているような時代に、イザドラはほかの人と違って自由だった。ロイも自由を求めて、コルセットを着て踊らない人間だったけど、シャイで自意識過剰だったから、自分自身のことを大きな衣装で隠していたわ。でもイザドラはシャイでなく自信もあったから、半裸のような格好でダンスを披露することもいとわなかった。その時代のタブーをすべてして、偉大なスターになった」。
「リリーもそういう風に、新たな時代を象徴する存在だと思った。タブーなんてくそくらえというタイプだし。人々の欠点をも愛するような人で、人々に対等に接することができる人。LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クエスチョニングまたはクィアの頭文字をあわせたセクシャルマイノリティーの呼称)について、とてもクールな発言もしていたし、そういった活動にも積極的で、本当に素晴らしい子だと思う」とリリーへの称賛がやまないソコ。
その毅然としたリリーの態度は、撮影中のあるエピソードからもうかがい知ることができた。「私が彼女の映画初キスシーンを奪っちゃったの。超貴重でしょ」とうれしそうに語りだすソコだったが、「私は『大丈夫? カメラの前でキスなんてしたことないでしょ?』って感じで。彼女はまだ16歳だったし、友人だったわけで。相手が16歳だと思ったら本当に難しかった。私が『(キスシーンが)どうだったら大丈夫とか、これはいやだとか、あったら教えてね』って言ったら、彼女は『普通にキスしてくれれば大丈夫よ』って。それに対して、私が『でもほら、私は女だし』みたいに続けたら、『そんなの気にしないし!』と言われたわ(笑)」と裏話を明かしていた。それぞれアプローチの違うダンスで、世界を魅了した永遠のライバル、ロイとイザドラが繰り広げる愛憎劇にも注目したい作品となっている。(編集部・石神恵美子)
映画『ザ・ダンサー』は6月3日より新宿ピカデリーほか全国公開