実写版『東京喰種』の“赫子”はここからヒントを得た!
石田スイの同名漫画を窪田正孝、清水富美加、鈴木伸之、蒼井優、大泉洋らの出演で実写映画化した『東京喰種 トーキョーグール』(7月29日公開)のプロデューサーを務めた永江智大が、実写化にあたって最も困難だった課題について明かした。
人間を捕食する異形・喰種(グール)VS人間の戦いを、ある事故を契機に半喰種となった青年の視点から描いた本作。喰種が人を食うという設定をはじめ、彼らを駆逐しようとする行政機関CCG(Commission of Counter Ghoul)の戦闘シーンなど原作ではグロテスクな描写が目立ち、特に原作ファンにはその匙加減が重要になってくると思われるが、永江は「本当に喰種っているのではないか? と思っていただけるくらいリアリティーを突き詰めた」と強調する。
最大の難関となったのは、「現実にないものを本物のように作り出すこと」。喰種が戦いのシーンの中で用いる“赫子(かぐね)”やCCGが駆逐した喰種の赫子を利用して作る武器クインケといった原作の恐ろしくも魅力的な描写に説得力をもたせるため、「あらゆる地球に存在する鉱石や植物、動物の質感などを研究し、実際に存在しているものから多くのヒントを得た」という。『ゼロ・グラビティ』『メッセージ』などのニコラス・ベッカーが参加した赫子&クインケの特殊音響効果も見ものだ。
その一方で「PG-12」以上の年齢制限に至らない内容を目指したと言い、その理由をこう語る。「理由は二つあって、一つはグロテスクな描写を見せることが主旨ではないこと、しかしそこを全く描かないのは原作のテーマが伝わらず、リアリティーが生まれないと考えています。もう一つは小学生から海外の方まで、多種多様な方々が原作のファンでいらっしゃいますので、より多くの方々に観ていただきたいという思いがありました」。
そう永江が語る通り、原作で描かれる「異なる種族同士の殺し合い」はいつの世にも通じるテーマであり、映画は「綺麗事では解決しない世界」ゆえの哀しさを踏襲している。「決して分かり合えない者同士が共存する時どう生きていくのか。善悪で判断するのは難しく、相手を『知る』ことが大切なんだとカネキくんから教えてもらいました。これはわたし達が住むいかなる場所でも起こりうる、人が二人集まれば起こりうる出来事です」と永江は作品に込めた切実なメッセージを表した。(取材・文:編集部 石井百合子)
●永江智大(ながえ・ともひろ)
1987年生まれ。佐賀県出身。松竹株式会社所属の映画プロデューサー。『ジャッジ!』(2014)、『母と暮せば』(2015)などの製作に携わり、『東京喰種 トーキョーグール』で初プロデュースを務める。
※6月11日15:58追記:本文に事実誤認がございましたので修正いたしました。お詫び申し上げます。