周りにかわいがられないと消えてしまう…笑福亭鶴瓶が語る芸能界
月をも盗んだ大怪盗グルーと、その仲間で黄色いヤツら・ミニオンたちが活躍する人気シリーズ最新作『怪盗グルーのミニオン大脱走』。グルーの新たな敵となるのは、1980年代に活躍した元子役で、成長期に業界から干され、忘れ去られたことでひねくれてしまったバルタザールだ。第1作からグルーの日本語吹き替えを担当する笑福亭鶴瓶と、ハリウッド映画吹き替え初挑戦の松山ケンイチ(バルタザール役)&生瀬勝久(グルーの双子の兄弟ドルー役)という、芸能界で生き抜くことの厳しさを知る三人が語った。
バルタザールに思うところはあるかとの問いに、鶴瓶は「いらんこと言わんでおいとこか……」と消極的。その理由はまさに苦い経験があったからだ。「22歳かそこらで東京に出てきたとき、テレビでやっちゃいけないことをしてしまって関西に帰って、再度東京で挑戦し始めたときに、またね……。ああいうことしたらあかん、ってのはよくわかりましたね。若いからカーっとなって加減をわからずにやってしまうことって誰でもあるじゃないですか。でも、それじゃ芸能界はあかんのですわ」と実感を込めてコメント。それを聞いた生瀬は「その経験をしたからこそ、気をつけるべきところを気をつけられるようになるもんですよね。それで気づかない人はひねくれちゃう」とフォローした。
生瀬はここで、当のバルタザールを演じた松山が、キャリア初期に「ごくせん」で共演したときのことに触れ、「メインの生徒役ではなく、後ろの方にいた松山くんが、大河ドラマの主演まで上り詰め、いわば俳優の中でもトップになったわけだよね。こういうことは考えたことはないの?」と質問。松山は「大河ドラマでは(中井)貴一さんと共演したんですが、貴一さんから『大河の主演は50人しかいないからな』と言われたことに重みを感じました。大河の主役=トップ、というよりも、50人の名に恥じない存在でいないといけないな、と」と先輩の言葉で自分をしっかり持つことができたと振り返った。
そこで大先輩・鶴瓶から一言。「この仕事をしていると、ガツガツと『俺が俺が!』っていう時期も必要なのもわかる。だけどやっぱりね、どんな職業でも周りの人にかわいがられないと消えてしまいますよ」と断言。山あり谷ありの経験を持つ鶴瓶でなければできないアドバイスとなった。(取材・文:よしひろまさみち)
映画『怪盗グルーのミニオン大脱走』は公開中