10億円で買い付け!サンダンス映画祭で話題のラップコメディーとは
今年のサンダンス映画祭でフォックス・サーチライトが950万ドル(約10億4,500万円=1ドル110円計算)で買い付けた話題作『パティ・ケイクス(原題) / Patti Cake$』について、主演ダニエル・マクドナルドとジェレミー・ジャスパー監督が、8月15日(現地時間)ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
ニュージャージー州でバーテンダーをしながら、得意なラップを友人と共に歌っていたパトリシアことパティ・ケイクス(ダニエル)は、その特徴のある体形から“ダンボ”と呼ばれていた。ある日、風変わりな黒人バスタードの音楽に刺激を受けたことで、ラッパーとして本格的にステージに立つ夢を追っていく。MVを手掛けてきたジャスパー監督の長編デビュー作。
企画から5年間温めてきたという思い入れのある今作の主人公パトリシアについてジャスパー監督は「僕は主人公パトリシアに似たようなニュージャージー州の若い女性たちと共に育ってきたんだ。ある意味、パトリシアは僕の妹や従姉妹のような存在だね。ニュージャージー州の若い女性特有の(横柄な)態度やうぬぼれやすい性格は、僕が長年好きなラップとどこかつながっていて、その二つを合わせて製作することは、僕の中で理にかなっていたんだ」と話す。
主演のダニエルも本作には3年間関わっており、ラップの練習に1年半~2年費やしたというが、最も困難だったことを聞かれると「良い意味でたくさんあるわ。ラップはかなり大変だったし、(オーストラリア出身なため)アクセントも大変な箇所があったのよ」と答え、ジャスパー監督にスタントをやったことも明かされると続けて「観客がわたしの足のくるぶしをつかむ中で、ステージを歩いたり、幻想的に宙に浮いたりするシーンは、何度か撮り直して大変だったのよ」と振り返った。
中学生のときにはヘアメタル(派手な衣装や髪の毛をヘアスプレーで固める)バンドにハマっていたというジャスパー監督。劇中、ダニエル演じるパトリシアが歌う楽曲「Tough Love」ついて「あの楽曲は夜中の3時に急に目覚めて書いたもので、すでに頭の中にあった曲を引き出してテープレコーダーに録音したんだ。翌朝もう一度、録音した楽曲がどうか確認したら『なかなか良い曲だ』と感じたから歌詞を書き始めたんだよ」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)