ノーラン監督、日本のヒットメーカーに秘策を伝授!?
7年ぶりに来日したクリストファー・ノーラン監督が23日、丸の内ピカデリーで行われた映画『ダンケルク』ジャパンプレミアに出席し、ゲストとして登壇した映画『永遠の0』などの山崎貴監督と映像への熱い思いを語り合った。
本作は、ノーラン監督が始めて実話をもとにしたストーリーに挑んだ戦争映画。第2次世界大戦時、フランス北部ダンケルクを舞台にした史上最大の救出劇を、陸、海、空という3つのストーリーラインで、戦場の圧倒的な臨場感をほぼCGなしで描いた傑作だ。
ノーラン監督は『インセプション』以来7年ぶりの来日に「ようやく日本に戻ってこられてうれしい」と笑顔をみせると「『ダンケルク』は英国人にとっては、子どものころから聞かされている出来事ですが、この物語の根源にあるのは『窮地に追いやられても乗り越える力』というシンプルなもの。世界中の人の心に届くと思います」と作品に込めたメッセージを語る。
世界の映画をリードするノーラン監督の新作は、まるで観客自身が戦場にいるかのような錯覚に陥るほどの迫力。映画を観た山崎監督も「映画というのは観客を別世界に連れていってくれることが魅力だと思うのですが、ノーラン監督の作品は本当にその場にいるような感覚にさせてくれる。これだけの映像をCGに頼らないというのは本当にすごい」と絶賛した。
山崎監督といえば、『永遠の0』をはじめ『寄生獣』『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなど数々のヒット作を持つ日本を代表する映画監督だが、その特徴としてVFXを駆使した映像が挙げられる。しかし「僕はCGに頼り切っていると思われているけれど、撮れるものはできるだけ実写で撮りたいと思っているんですよ」と語ると「いろいろな予算の都合でどうしてもCGを使わざるを得ないことも多い。その部分の折り合いをどうやってつけているのか知りたい」と質問を投げかける。
ノーラン監督は「確かに『ダンケルク』をしっかり描くためには、ハリウッドスタジオ並みの予算をかけないと作れない。その意味では機会を得られたことに感謝していますが、実は書き割りのような古いテクニックを使ったりもしているんですよ」と撮影方法を一部明らかにすると「わたしも『永遠の0』を観ましたが、予算的限界がある中であれだけのものを作れるのはすばらしい」とエールを送っていた。
その後も若手俳優の演出方法や緊張感を持たせる映像技術などをノーラン監督に質問し、その技法が明かされるたびに感嘆の声を上げていた山崎監督。「ハリウッドでも書き割りのような工夫をしたりしていると聞き勇気がわきました」と笑顔で感想を述べていた。
イベントの前に行われたレッドカーペットイベントには、藤岡弘、、羽野晶紀、アンミカ、ダンテ・カーヴァー、厚切りジェイソン、赤ペン瀧川先生、ハリー杉山が来場し、作品への期待を語っていた。(磯部正和)
映画『ダンケルク』は9月9日より全国公開