ロバート・レッドフォード、死ぬ前にもう一度ジェーン・フォンダと!38年ぶり共演に込めた思い
第74回ベネチア国際映画祭
現地時間1日、第74回ベネチア国際映画祭にて新作Netflixオリジナル映画『アワー・ソウル・アット・ナイト(原題) / Our Souls at Night』で38年ぶりに共演を果たしたロバート・レッドフォード(81)とジェーン・フォンダ(79)がそろって栄誉金獅子賞を受賞。2人は同日、記者会見に出席し、本作に込めた思いを語った。
ケント・ハルーフの小説を原作にした本作は、夫に先立たれ、孤独に暮らしていたアディー(ジェーン)が、近所に住む同じ境遇のルイス(ロバート)と次第に打ち解け合い、人生を謳歌していく姿を描く。ロバートは原作の映画化権利を自ら獲得し、プロデューサーを務めてまでしてこの映画を実現させた理由を3つあげる。「まず、映画ビジネスでは若者向けの作品ばかりで、年配の観客を楽しませるような作品が少ないと思った。そしてラブストーリーには常に人生があると思った。3つ目は、ジェーンと映画をつくりたかった。僕が死ぬ前にもう一度ね」。
それに応えるようにジェーンも、ロバートと最後に共演した当時を思い起こし、「(ロバートが主催する)サンダンス映画祭がちょうどはじまったころだったの。そして、ロバートが築いたものは、アメリカ映画を大きく変えたわ。彼を俳優として、プロデューサーとして、そして監督として好きなだけじゃないの。この人こそ、アメリカ映画に多大なる影響を与えた人なのよ。そんな彼がどうなっているのか、一緒にまた時を過ごしてみたいと思った」とこれまでの功績を称えつつ、「それにまた彼と恋をしたいと思ったから」と笑顔を添えた。
そんな本作の監督にはベテランではなく、インドの新鋭リテーシュ・バトラ(『めぐり逢わせのお弁当』)が起用されているが、そこにもサンダンス映画祭を創設したときと同じような信念があるのだとロバートは明かす。「成功したなら、僕自身のことを言ってるわけだけど、その成功により選択肢を持つことができる。そのまま成功したことにエネルギーを注ぎ込むか、あるいは、他の人々にチャンスをつくるためにその成功を使うことができる」と説明し、後者を選んだことを明かした。
2人が共演した『裸足で散歩』(1967)と本作の違いを聞かれると、ジェーンは「この映画は『裸足で散歩』に似てると思う。もちろん違うけど、ダイナミックがどこか似ているの。私のキャラクター、アディーは中心的存在で『これやろう』とか言って、前に進む。彼は立ち遅れるの。そういうところが似ていて、楽しいわ」とうれしそうに話す。ロバートも「僕からすると、ジェーンとの仕事はいつも気楽で、うまくいった。ディスカッションもそんなに必要としなかったし、僕たちの間には何かがあったと思う。そしてそれは、当時からそのままだ」と信頼の深さをうかがわせた。
また、ジェーンが本作のメッセージについて、「この映画が伝えようとしているのは“遅すぎることはない”ということ。勇気を持って、危険を冒してでも信じることで、望んでいたものになれる。たとえそれまでに経験したことがないものでも」と力強いスピーチをすると、会場からは大きな拍手が沸き起こる感動的な一幕もあった。(編集部・石神恵美子)
ベネチア国際映画祭は現地時間9月9日まで開催