妻夫木聡&水原希子、濃厚キスシーンの理由
テレビドラマ&映画『モテキ』(2010・2011)、『バクマン。』(2015)の大根仁監督が渋谷直角の漫画を映画化した『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(9月16日公開)で、主演の妻夫木聡と、ヒロイン役・水原希子の濃厚なキスシーンの意図を明かした。
【写真】妻夫木聡&水原希子、キス、キス、キス!『モテキ』大根仁監督のラブコメで
本作は、「力まないカッコいい大人」奥田民生に憧れる33歳の雑誌編集者・コーロキ(妻夫木)が、仕事で出会った美女あかり(水原)に翻弄されるさまを描くラブコメ。数々のJ-POPをちりばめた『モテキ』シリーズのように、今回は「息子」「愛のために」「CUSTOM」「The STANDARD」など奥田民生の名曲群をBGMにした「ボーイ・ミーツ・ガール」の物語が展開する。
『モテキ』シリーズで主演の森山未來が長澤まさみ、野波麻帆、満島ひかり、松本莉緒ら数々の女優と繰り広げたキスシーンが話題になったが、この『民生ボーイ』ではそれを上回る濃厚なキスシーンが特徴。日本のメジャー系恋愛映画でディープキスが見られるのは決して多くないため新鮮に感じる人もいるかもしれないが、監督からすると「だって、大人は普通最初からディープキスするでしょう? ご飯を食べる時は箸を使うもの、それぐらいの感覚だった」という。
また、撮影自体もディープキスゆえに妻夫木&水原に特別な指示をすることもなく、意思疎通のもとスムーズに行われた。「希子ちゃんに『このシーンを経て、コーロキはどんどん狂わされていくんだよ』というぐらいのことは言ったけど、ブッキー(妻夫木)も希子ちゃんも自然に意図を汲んでくれて。撮影現場ではラブシーン、ベッドシーンはアクションシーンみたいなもの。だから本気でやらないと、(観客から)ぶつかり合っているように見えないという感じになってしまうわけで」。
さらに、大根監督は邦画界で「大人向けのラブコメ」が苦手ジャンルとなっている傾向を指摘する。「僕は元々『メリーに首ったけ』(1998)のようなアメリカのラブコメは大好きなんだけど、日本ではそれが一番苦手なジャンルという気がしていて」と監督自身がラブコメファンであることをふまえたうえで、そこに着手する理由を説明する。「ウディ・アレンみたいな(大人のラブコメが得意な)監督もいないし、だから僕はその隙間産業をやっている感じというか」。
恋人と自分の熱の差、想いがすれ違った時にジタバタする無様さ、「器の大きい男」になれない自分へのコンプレックスなど、数々の試練に見舞われる男性の心情が赤裸々に映し出された本作。こじらせカップルを体現した妻夫木&水原の見事な化けっぷりに圧倒されるはずだ。(取材・文:編集部 石井百合子)