教え子と夫婦で関係を持ち大学追放…『ワンダーウーマン』原作者の型破りな人生が希代の女性ヒーローを生んだ
第42回トロント国際映画祭
現地時間12日、第42回トロント国際映画祭でDCコミックスの女性ヒーロー、ワンダーウーマンの原作者と二人の女性の型破りな人生を描いた伝記映画『プロフェッサー・マーストン&ザ・ワンダー・ウィメン(原題) / Professor Marston & the Wonder Women』のワールドプレミアが行われた。ウィリアム・マーストン役にルーク・エヴァンス(『美女と野獣』)、その知的な妻エリザベス・マーストン役にレベッカ・ホール(『ザ・タウン』)、彼らと愛し合うようになる女子学生オリーブ・バーン役にベラ・ヒースコート(『ネオン・デーモン』)がふんし、ユニークなラブストーリーとワンダーウーマン誕生秘話をチャーミングに紡いでいる。
テレビドラマ「Lの世界」などのアンジェラ・ロビンソン監督が本プロジェクトを始動させたのは、今から実に8年前。ワンダーウーマンについて書かれた本のマーストン一家についての1章を読み、「信じられなかった。それは真のラブストーリーで、型にはまらない関係で、まさにワンダーウーマンの心だった」と彼らの物語に魅了され、テレビドラマの仕事のない夜中や週末に時間をかけてリサーチしてきた。「彼らは自分たちのことを隠していたから、探偵のようにたくさん調査をして、彼が書いた本やセオリー、手紙を深く読み込んだ。マーストンの人生には議論の余地のない事実がたくさんあり、解釈の可能な事実もある。この映画はわたしが発見したことについてのわたしなりの解釈で、彼らへのラブレターと考えている」と明かす。
物語は、1920年代、大学で心理学を教えていたウィリアムとエリザベスが、女子学生オリーブと出会うところからスタート。著名なフェミニストを母とおばに持ち、才能あるオリーブはアシスタントとして彼らと行動を共にし始め、それぞれが互いに惹かれるように。3人で関係を持っていることが明るみになって大学を追放されるも、家族として一緒に暮らすことに決める。そしてウィリアムはエリザベスとオリーブという進歩的な二人の女性にインスパイアされ、女性解放運動に関する彼の理想を託したワンダーウーマンというヒーローを生み出すことになる……。
ウィリアム役のルークは「脚本を読んで何て美しいストーリーで、そしてウィリアムという人物は何て“ワンダフル”な男なのだと思った。彼はこの二人の女性たちが愛し合っても気にせず、彼女たちがしたいようにできるようにするんだ。語る価値のある物語で、僕の心の琴線に触れたよ」と出演を決めた理由を説明。ウィリアムが嘘発見器の発明家でもあるためにワンダーウーマンの武器“真実の投げ縄”が生まれたりと、縄や衣装や描写のアイデアがどこから来たのかがビジュアルで示されている点も興味深い。
ワーナー・ブラザースとDCコミックスのサポートはあったのか? との問いに、ルークが「今年『ワンダーウーマン』を公開してくれたのが一番のサポートだよ(笑)」と答えて会場を沸かせる一幕も。ロビンソン監督は「ワンダーウーマンは誕生から75年たってようやく大きなスクリーンにやって来て、世界中でセンセーションを巻き起こしている。彼女は真実であり、自由であり、愛と平和。その理想を持った人々の人生を描けて光栄に思う。公開まで時間がかかったけれど、今がベストなタイミングだった」と充実感をにじませた。(編集部・市川遥)
第42回トロント国際映画祭は現地時間17日まで開催