テクノの巨匠ジェフ・ミルズ来日!井浦新&瑛太共演作は「ドラマ以上ホラー未満」
世界的なテクノミュージックの巨匠でDJのジェフ・ミルズが14日、自身が音楽を担当した日本映画『光』(11月25日公開)のトークイベントに、本作の監督を務めた大森立嗣とともに出席。本作のオファーを受けた当時を振り返りつつ、音楽の製作過程を明かした。
三浦しをんの小説を『さよなら渓谷』『まほろ駅前多田便利軒』などの大森監督が井浦新と瑛太の共演により映画化。大災害で生き残った3人の男女が25年後に再会し、過去の秘密に翻弄(ほんろう)されるさまを描く本作。トークイベントは東京・銀座のApple Store内にあるシアターで和やかに行われた。
ミルズは登壇すると「この映画に音楽を提供できたこと、その一部になれたことを光栄に思います」と嬉しそうな表情。完成作も鑑賞済みだといい、「大変気に入りましたし、自分の音楽が入る前のものを先に観ていたのですが、よりストレンジなものになっていて、現実なのか夢の中の風景なのか、そのあたりも曖昧で不気味で、ドラマ以上ホラー未満という感じの作品になっていました。観ていると螺旋の中を奈落に引き込まれていく感じで、その中で自分も落ちていく。見終わったあとに忘れられない作品になっている」と絶賛。
サントラについては「これまでも映画音楽はいろいろやってきたんですがそれとは違う作り方をしました」といい、「この映画に合う音楽は何だろうと考え、パズルがぴったり合わない音楽にするべきじゃないかと思った。音にまで人格があるようなものにできたんじゃないかと」と自信を覗かせる。「最終的には自分の音楽が登場人物の意識のような存在になれば。セリフのないところでも音楽で語る瞬間がある、そんな音楽になればいいなと思いながら作ったんです」と音楽の狙いや意図を語った。
サントラ製作の際には、まだ会っても話もしていない監督に、完成していない本作に関するイメージを膨らませるため、言葉のキーワードをいくつかリクエストして送ってもらったといい、「白い月」など監督のポエムのようなキーワードのいくつかを束ねて世界観を構築。「もともとDJという仕事はいろいろな情報を寄せ集めるような作業。知らない人とコミュニケーションをとるような作業も行っているので」とその作業を楽しんだといい、リスナーの視点を大事にして作っていったという本作の音楽が完成するさまを「暗い中でずっと模索して、そこに突然光が見えると少しずつ繋がっていくという感じでした」と独特の表現で表した。(取材・文:名鹿祥史)