とんでもない天才子役!『(500)日のサマー』監督が大絶賛のワケ
映画『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ監督が、『キャプテン・アメリカ』シリーズのクリス・エヴァンスとタッグを組んだ『gifted/ギフテッド』で、特別な才能を持つ少女・メアリー役探しを「最大の難関だった」と振り返りながら、最終的に同役を射止めた天才子役マッケンナ・グレイスの魅力についてとことん語った。
ウェブ監督が『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ以降初めて手掛けた映画である本作は、特別な才能(=ギフテッド)を持つ7歳のメアリーとその叔父(クリス)の絆を通して、本当の幸せとは何かを問うファミリードラマ。「『アメイジング・スパイダーマン』ではすべてに時間がかかったし、何千人という大勢のスタッフと働いていた。だから今回は、シンプルな映画をつくりたかった」と振り返るウェブ監督は「脚本を読んで、それをするのに格好の題材だと思ったよ。シンプルで素晴らしいストーリーに、とても興味深いキャラクターたち」と惚れ込んだことを明かす。
しかし、キャスティングには多大なプレッシャーがあったという。「フランク役はクリスができると思った、でもメアリー役に、アドリブができて、感情豊かな子供を見つけるのは本当に大変だったんだ。この映画をつくるうえで一番のリスクだった。でも、マッケンナを見つけたことで、それが最大の報酬になった」。『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』や「フラーハウス」への出演歴を持つマッケンナだが、ウェブ監督は彼女の演技を他作品で見たわけではなく、総勢800~900人にも及んだオーディションで目の当たりにし、「彼女こそがメアリーだ」と直感したのだそう。
「彼女はずば抜けた才能をもっている。どう表現したらいいのかわからないけど、優れた演技力だけでなく、思いやりもある。それはスクリーン越しにも伝わると思うけど、彼女はとても心優しい子なんだ。それは演技ではなくね」とマッケンナをほめたたえるウェブ監督は次々とうれしそうにエピソードを披露する。「例えば、役について話し合っているとき、参考のために『ペーパー・ムーン』(1973年制作のアメリカ映画)を観てほしいと伝えておいたんだ。撮影になって、『ペーパー・ムーン』の子役のようにうめいて! と言うと、彼女は『わかった! ううううー』って、やってのける(笑)。どうやって演技するかを理解していて、同時にアドリブもできるんだ」。
「それにキャラクターの感情についてもよく理解していた。あるシーンで急に、『マーク、彼女はこのシーンで絶対に謝らないと思う。彼女は申し訳ないと思わないはず』と言ってきたんだ。僕は思わず、『素晴らしい! じゃあそのセリフは取ってしまおう!』って(笑)。彼女は自分のキャラクターに責任を持って臨んでいたんだ。メアリーが一体何者であるか、彼女自身がよく理解していたね。それこそ、多くの俳優が実践できるようになりたいと願っていることだ。彼女のそういうところが本当に気に入ったし、彼女には本当に素晴らしいと伝えていたよ」。
また、小学校のシーンでは、メアリーのクラスメイトに子役ではなく、本当の子供たちを集めて撮影が行われたといい、そこでもマッケンナが本領発揮したという。「教室の後ろにカメラを置いて、(先生役の)ジェニー(・スレイト)がそのクラスで10分間授業をしたんだ。するとみんなウォームアップしてきて、マッケンナとジェニーがいよいよ演技を始めると、子供たちはそのやりとりにリアルに反応し始めるんだ。ドキュメンタリー映画を撮っているような気分で、とても面白い映画作りだった。マッケンナがみんなの手本になっていたよ。彼女がアドリブするとみんなも本当にやってくれるんだ。そのリアルさがこの映画のトーンを築いてくれたと思う。本編を貫くとても自然なトーンを生み出してくれた」と満足そうに語っていた。ウェブ監督に見出されたマッケンナは、早熟で全てを見透かしたような態度を見せたかと思えば、年齢相応の無邪気さを振りまいたりと、何とも言えぬ絶妙さで、“天才な子供”を体現している。そんなマッケンナは、元女子フィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングの半生を描いた新作映画『アイ、トーニャ(原題) / I, Tonya』で、主演マーゴット・ロビーの子供時代を演じるなど、今後ますますの活躍が期待されている。(編集部・石神恵美子)
映画『gifted/ギフテッド』は全国公開中