『ドリーム』女優、黒人女性アクションスターの必要性を訴える
テレビシリーズ「Empire 成功の代償」や、映画『ドリーム』などで注目を集めたタラジ・P・ヘンソンが、話題のアクション映画『プラウド・メアリー(原題) / Proud Mary』について、1月9日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
【写真】映画『ドリーム』でNASAで働く女性のパイオニアを演じたタラジ
本作は、ボストンのギャング一家の女殺し屋メアリー(タラジ)が、ライバルギャングの使い走りをしていた少年と出会ったことから、思いがけず母性に目覚め、彼女の人生が一変するというもの。映画『エンド・オブ・キングダム』のババク・ナジャフィが監督を務めた。
アクション映画の主人公を黒人女性が演じることについて「ハリウッドは想像してこなかっただろうけれど、わたしは常に想像してきたわ」と語るタラジ。制作前には、「自分にできないとは思っていなかったけれど、ハリウッドでは、黒人として、女性として、たくさんの障害を乗り越えなければいけないの。わたしがアフリカ系アメリカ人女優の名前が、ポスターの中で映画タイトルの上に載っているのを見たのは1970年代が最後だったと思うわ。もう2018年になったのに、(黒人女優を前面に押し出すことの)一体何がまだ問題なのかしら?」とハリウッドの抱える問題点を指摘。
続けて、「わたしの黒人女性の友人であるレジーナ・ホール、レジーナ・キング、ガブリエル・ユニオンらは、とても美人で、かなり体も鍛えているけれど、彼女たちの役はどこ? なぜわたしだけがこの役柄を与えられたの? この役に恵まれたことに感謝しているし、わたしが今作を演じたことで、(アクション映画で黒人女性が主人公になるという)壁をぶち破ることができたら良いとも思うけれど、男優と違ってとてもアンフェアよ。男優ならば40代過ぎてもチャンスを与えられるし、映画が興行的に失敗しても再びチャンスが与えられるわ」と不満をあらわにした。
今作のアクションについては、「休暇の時に射撃場に行っているから、銃の撃ち方に関しては知っていたの。だから、銃を使うことに関してはあまり怖くはなかったけれど、白兵戦はこれまでやったことがなかったわ」とタラジ。直前までドラマ「Empire 成功の代償」の撮影があり、トレーニングする時間があまりなかったそうで、「でも、大学時代にミュージカルシアターで多くのダンストレーニングをしていて、格闘の振り付けも、ダンスの振り付けも、振り付けに必要なのは、数を数えながらタイミングを図ることだと学んだの。だから、そのやり方でなんとか乗り切ったわ」と実力派売れっ子ならではの攻略法を明かした。
メアリーというキャラクターについては、「彼女は孤児で、ギャングのボスに拾われ、殺し屋にさせられるの。少年と出会ったことで、自分がギャングから足を洗おうとするだけでなく、その少年もギャングから救おうとするのは、彼がギャングによって、殺し屋にさせられることが理解できたからよ」と解説。「周りの男からはできないと指摘されるけれど、彼女は男性の犠牲にはならず、みな殺しにしていくのよ!(笑)」と笑顔で締めくくった。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)