ダンスがイケてない!?人気ミュージカルスターの意外な弱点暴露
空前の大ヒットを記録したブロードウェイ・ミュージカル「ハミルトン」で作詞・作曲・主演を務めたリン=マヌエル・ミランダが、1月26日(現地時間)、ニューヨークのジェイコブ・ジャビッツ・コンベンション・センターで開催されたブロードウェイ・コンに参加。自身が10年前に手掛けたブロードウェイ・ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」について、カレン・オリーヴォ、クリストファー・ジャクソンと共に振り返った。
【動画】リン=マヌエル・ミランダが手掛けた『モアナと伝説の海』主題歌
「イン・ザ・ハイツ」は、マンハッタン北西部の移民の街を舞台に、ラテン系の若者が家族や仲間の絆を大切にしながらたくましく生きる姿を、ラップ、サルサ、ヒップホップなどの楽曲に乗せてエネルギッシュに描いたミュージカル。商品雑貨店で働くウスナビ(リン)とヘアサロンに勤めるヴァネッサ(カレン)、タクシー会社で働くベニー(クリストファー)とその会社の経営者の娘ニーナ(マンディ・ゴンザレス)の恋の行方を追いながら、日々の生活を捉えていく。2008年のトニー賞で、ミュージカル部門作品賞を含む4部門で受賞を果たした。
大学2年生の時に、自分の人生をミュージカルに捧げると決めたというリン。「でも、バーナード・ジョンソン(ダンサー、振付師)やポール・テイラー(バレエダンサー)のようにダンスができたわけではなかった。そこで、その時から自分が夢見るブロードウェイ・ミュージカルを書き始めたんだ」と振り返る。当時は、リッキー・マーティン、マーク・アンソニー、エンリケ・イグレシアスといったラテン系歌手が世界的に活躍しており、自分の人生を通して聴いてきたラテン系の音楽が、世界中に受け入れられていることがとても興味深かったという。「それまで作詞・作曲はしていたのだけど、自分のホームタウンの人たちが聴いていたような音楽は書いたことがなかったんだ。だから脚本の初稿には、ヒップホップやラテン音楽など、自分の全てを注ぎ込んでみたんだ」と明かした。
ヴァネッサを演じたカレンは、当時のオーディションについて、「クラブ音楽で踊るダンスのオーディションだったわ。すぐに男性パートナーと踊ることになったのだけれど、わたしはさえないダンスパートナーと踊り続けなければならなくて……。このままでは、役をゲットできないと思ったの。だから、見切りをつけて、その場にいたベストダンサーと踊ろうとしたら、その人から『君はあの(さえない)男とダンスしたほうが絶対に良いよ』と断られたの。仕方なく再びさえない男と踊ったのだけど、それが実は(リンを指さして)この男だったわけ!(笑)」と明かし、会場を一挙に笑いの渦に巻き込んだ。
この舞台で現在の妻で女優のヴェロニカ・バスケスと知り合ったというクリストファーは、「シアターの地下でリンがピアノを弾いていて、そこには舞台監督のトーマス・カイルと作曲家のビル・シャーマンもいたんだ。突然、リンから歌詞の書かれたドキュメントを渡されて、『このラップの曲を学んでくれ!』と言われてね。ラップの楽曲が入ったミュージカルを手掛けるなら、真っ先に出演したい! と思ったよ」と当時を振り返った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)