川栄李奈「地味力」の強み!主役を引き立て自身も輝く
映画『嘘を愛する女』では謎のゴスロリ系女子大生、『デスノート Light up the NEW world』では群集を恐怖に陥れる殺人鬼など、これまでさまざまな役を演じ分け、脇役ながらキラリと光る存在感を残してきた女優の川栄李奈。最新作『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』では、ヒロインの親友役を等身大の演技で表現し、作品を大いに引き立てている。「地味だからこそできる役割がある」という川栄が、“脇役”の醍醐味について本音で語った。
本作は、『潔く柔く きよくやわく』の原作者・いくえみ綾の人気コミックを実写映画化した青春ラブストーリー。両親が離婚して家にも学校にも居場所のない女子高生が、転校先でタイプの違うモテ男子2人組と出会い、恋に落ちる姿を描く。自分の居場所を模索するヒロイン・住友糸真に黒島結菜、モテ男子の舘林弦にジャニーズWESTの小瀧望、桜井和央に高杉真宙、そして恋と友情に揺れ動く糸真の親友・国重晴歌に川栄と、人気絶頂の若手スターがずらり名を連ねる。
「この年齢(現在23歳)で制服を着て、『親友と同じ男の子を好きになる』というキラキラした女子高生役をやらせていただけたことがうれしかったですね。本当に(女優って)いい仕事だなとつくづく思いました」と笑顔を見せる川栄。とくに、ヒロインの親友役という立ち位置は、「まさにわたしのベストポジション」と自ら太鼓判を押すほどのお気に入り。「もともと存在が地味なので、主役をやりたいと思ったことがないんです。だから、ヒロインをいかに輝かせるか、というところにいつも懸けているんです」
川栄の口から時おり出てくる“地味”というワード。これは、具体的に何を指しているのだろうか。「まず、顔が薄くて印象に残らない。主役を張れるハッキリとした顔立ちをしていない」と厳しい自己評価。さらに、「性格的にも恥ずかしがり屋だし、できれば目立ちたくないタイプ」とアイドル出身とは思えない引っ込み思案な一面を吐露する。
「AKB48時代も総選挙で1位を獲りたいとか、センターに立ちたいとか、一度も思ったことがありません。でも、選抜にだけは入りたいという夢はあった」という川栄。そこのサジ加減は、ある意味、昔も今も変わっていない。あくまでも3番手、4番手辺りで活躍するのが心地よく、それが自分に合っているということを、冷静に客観視しているという捉え方もできる。
だが、そんな地味で引っ込み思案な川栄が、脇役とはいえ、なぜ、よりによって女優という“見られる”仕事を選んだのか。「わたしは、こんな性格だから、素を出すのがとにかく苦手なんですね。でも、お芝居だったら、セリフがあって、喜怒哀楽があって、それを役柄として思い切り表現することができる。これがすごく楽しくて、自分に合っているなと思ったんです。それが脇であればあるほど面白い。顔が薄い分、いろんな役に溶け込めますから(笑)」
そんな川栄も、自身の意に反して(?)次回作『恋のしずく』では主演を務める。「気合は入りますけど、変に気負い過ぎず、普段通りにやらせていただきました。ただ、主演になって、改めて周りの方に助けていただいていることを実感したので、今度、自分が脇に回ったときに、いかに主演の方を助けられるか、というのをすごく考えましたね」とどこまでも謙虚なところがいじらしい。
映画やドラマで多忙を極める毎日だが、「お仕事が複数重なっても全然平気です!」と笑顔を見せる川栄。“地味力”を武器に、演技の振り幅をどんどん広げていく彼女のたくましい生きざまを、これからも追い続けてみたい。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』は3月3日より全国公開