『三度目の殺人』作品賞など最多6冠!役所広司&広瀬すず歓喜
第41回日本アカデミー賞
第41回日本アカデミー賞授賞式が2日、港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、映画『三度目の殺人』が最優秀作品賞、最優秀監督賞を含む最多6冠に輝いた。是枝裕和監督やキャストの役所広司、広瀬すずらが壇上で喜びをあらわにした。
同作は、『そして父になる』の福山雅治と是枝監督が再びタッグを組んだ法廷サスペンス。死刑が確実視されている殺人犯の弁護を引き受けた弁護士(福山)が、犯人(役所)と交流するうちに動機に疑念を抱き、真実に迫るさまを描いた。弁護士や検事への取材に加え、作品の設定通りに実施した模擬裁判でみられたリアルな反応や言動などを脚本に反映した。
編集賞、脚本賞に続き、監督賞でも最優秀賞を獲得した是枝監督は、この日は登壇しなかった主演の福山が常に製作の中心にいたと語り、「僕が悩んで先が見えなくなった時に『大丈夫ですよ。音楽でもそういう時に一番いいものが生まれたりしますから』と常に僕を信頼して任せてくれました。まずそのことに本当に感謝していますし、彼のもとにも届けたいと思います」とコメント。
日本アカデミー賞協会・岡田裕介会長から、例年になく大接戦だったという優秀作品のうち『三度目の殺人』が最優秀作品賞に選ばれたことが発表されると、是枝監督をはじめスタッフ、キャスト陣はステージへ。『海街diary』以来の是枝組で、父を殺された女子高生を繊細な演技で表現し、最優秀助演女優賞に輝いた広瀬は、「おなかが痛いです。本当に素敵な景色を観させていただきました」と感謝。
『三度目の殺人』と『関ヶ原』(原田眞人監督)のそれぞれで優秀助演男優賞を受賞し、『三度目の殺人』で最優秀助演男優賞を獲得した役所は「僕はもう原田組と是枝組の間に挟まってすごく複雑な気持ちですけども」と冗談めかしつつ、「本当に皆さん、おめでとうございます。うれしいです」と喜んだ。
そして、是枝監督は「チャレンジの連続だったのものがこういうかたちで評価をいただいて本当にうれしく思います。まだまだ映画はよくわからないなというのが撮り終えたときの正直な感想でした。この受賞を糧にしてもう一歩先に進みたいです」と改めて意気込んだ。
『三度目の殺人』と同じく最多10部門で優秀賞を獲得していた『関ヶ原』は、撮影賞、照明賞、録音賞の3部門で最優秀賞を受賞した。(編集部・小山美咲)
受賞結果は以下の通り。
■最優秀作品賞
『三度目の殺人』
■最優秀アニメーション作品賞
『夜は短し歩けよ乙女』
■最優秀監督賞
是枝裕和『三度目の殺人』
■最優秀主演男優賞
菅田将暉『あゝ、荒野 前篇』
■最優秀主演女優賞
蒼井優『彼女がその名を知らない鳥たち』
■最優秀助演男優賞
役所広司『三度目の殺人』
■最優秀助演女優賞
広瀬すず『三度目の殺人』
■最優秀脚本賞
是枝裕和『三度目の殺人』
■最優秀撮影賞
柴主高秀『関ヶ原』
■最優秀照明賞
宮西孝明『関ヶ原』
■最優秀音楽賞
鈴木慶一『アウトレイジ 最終章』
■最優秀美術賞
倉田智子『花戦さ』
■最優秀録音賞
矢野正人『関ヶ原』
■最優秀編集賞
是枝裕和『三度目の殺人』
■最優秀外国作品賞
『ラ・ラ・ランド』
■新人俳優賞
中条あやみ『チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』
浜辺美波『君の膵臓をたべたい』
北村匠海『君の膵臓をたべたい』
竹内涼真『帝一の國』
■話題賞
作品部門:『君の膵臓をたべたい』
俳優部門:菅田将暉『帝一の國』
(※新人俳優賞、話題賞は最多受賞数に含まず)