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パンダはなぜあんなにかわいいのだろう?パンダがかわいい理由を映画から考える

愛くるしい姿を見せる上野動物園のジャイアントパンダのシャンシャン
愛くるしい姿を見せる上野動物園のジャイアントパンダのシャンシャン - Tomohiro Ohsumi / Getty Images

 上野動物園の赤ちゃんパンダ・シャンシャンの一般観覧が始まってから、ヒートアップするばかりのパンダ人気。最近では、5頭のジャイアントパンダが暮らす和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドも注目されている。なぜパンダは、こんなにもキュートで、こんなにも愛されるのか。パンダが登場する映画から、その謎に迫ってみた。(文:桑原恵美子)

かわいい理由1…全体的に丸みがあるボディー

パンダコパンダ』(1972)

 宮崎駿高畑勲の黄金コンビによる、46年前の名作アニメ映画。主人公は、おばあちゃんが遠くに出かけたため、竹林の中にある家で一人留守番をしている小学生ミミ子。ある日その家に、子供パンダのパンちゃんとその父親・パパンダが訪れ、ミミ子は大喜び。家族のように一緒に暮らし始める。

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 実際のパンダの造形も全体的に丸みがあるが、この作品ではそれが強調されていて、ミミ子が初めて出会ったパンちゃんの後ろ姿はほぼ球形。パパンダはメタボ体型で、おなかの丸みは後のトトロを連想させるボリュームだ。パパンダがパンちゃんをそのおなかにくっつけて歩き回る姿は、設定のシュールさや古さを吹き飛ばす爆発的なキュートさ。パンダのかわいらしさの原点は、やはり丸みをおびた体型にあることをつくづく感じた。

かわいい理由2…愛嬌のあるたれ目模様

パンダ子パンダ
スタジオジブリを代表する2人のクリエーター、高畑勲と宮崎駿が手掛けた傑作アニメ!『パンダコパンダ 雨ふりサーカス』より - (C) TMS

パンダフルライフ』 (2008)

 ほぼ実写だが、パンダの進化の過程を描いたアニメーション部分が秀逸。なんとパンダは氷河期を乗り越えて800万年という長い歴史を奇跡的に生きのびてきたといわれる数少ない哺乳類。祖先は茶色い毛並みだったが、雪に閉ざされた氷河期に白黒のツートーンカラーになったとのこと。また肉食獣だったが、生き物が死に絶え、食べるものが何もなくなった氷河期に、雪の中でも青々とした葉をつける竹を見つけ食料にしたことで生き延びることができたそうだ。絶命しかけた時、生きるために竹を食べる決心をするアニメは感動的。竹は2割しか消化されないので1日中食べ続けていなければならない……など、パンダのトリビアが満点。

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 実写部分では、ものすごく近寄った接写のカメラワークが目立つ。クローズアップで見る爪のかわいさも発見だが、意外だったのは目。目元の黒い毛の部分を接写すると意外なほど小さな目が見え、まさかのつり目。あの目元のたれ目デザインで大きな黒目に見え、アニメに出てくる動物のようなかわいらしさが生まれることに気づく。またこの映画は、珍しいパンダの鳴き声が聞こえるのも得した感じ。「ヒーン」という訴えるような声で、それもまたかわいい。

かわいい理由3…モフモフ、フワフワの毛

『 51(ウーイー) 世界で一番小さく生まれたパンダ 』(2012)

 中国・四川省成都にあるジャイアントパンダ保護センターで2006年、体重わずか51グラム(鶏の卵1個分程度)しかない、超未熟児として生まれた「ウーイー」(中国語で51)。その成長を追った膨大な映像資料を編集したドキュメンタリー映画だ。生まれたばかりはまさに「赤子」状態だが、ホワホワの白い産毛が生えてくると早くも“かわいいオーラ”が発生。全体的に生えそろった頃のフワフワ毛期のかわいさは、無敵だ。そして大人になっても、“大きなフワフワの毛玉”のようなかわいさはずっと健在。

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 白黒のツートンカラー、たれ目模様、まるみを帯びたボディー。これだけでもかわいい要素は満点だが、そこに「ふわふわ」という合わせ技が加わることで、反則と言いたいくらいのかわいさが生まれるのだ。

かわいい理由4…顔のパーツが下に寄っているので、子供顔

カンフー・パンダ』(2007)

 実写でこれほどかわいいパンダだから、アニメにすればさぞかし……。と思いきや、なぜかさっぱりかわいく見えない、パンダ映画の問題作。ダメダメな主人公のポーが厳しい特訓を受けて成長し、敵と対決するストーリーは、初期の人気カンフー映画のテンプレートなので安心して楽しめる。また戦闘シーンの動きは、実写では不可能なアニメならではの迫力。なのに残念なことに、主人公のパンダが圧倒的にかわいくないのだけが惜しい。

 いったいなぜ? と実写のパンダと比較してみて、顔やボディーのパーツの配置に原因があることに気付いた。パンダは顔のパーツが下に集まっているため、大人でも赤ちゃんのようにキュートに見える(消化しにくい固い竹を食べるためにそうなっているそう)。また体型も一生頭が大きい赤ちゃん体型のままで、よちよち歩き。だがポーは5~6頭身で、しかも後半はキレのいい俊敏な動きで敵と戦う。つまり、パンダがかわいいツボを、見事なまでにことごとく外しまくっているのだ。

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『カンフー・パンダ3』
ドリームワークスが作るとパンダもこうなる!映画『カンフー・パンダ3』より - Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 とはいえ、冒頭の影絵のような2D風アニメ(ポーがカンフーマスターになっている夢)は動きも色彩もアートのように美しく、ポーも超絶にスタイリッシュでクール。アニメだから描ける、パンダの新しい魅力を発見できる(かもしれない)。

かわいい理由5…動きが人間っぽい

『PANDAS』(未公開)

 こちらも舞台は、成都にあるジャイアントパンダ保護センター。ドキュメンタリー映画なのも『 51(ウーイー)~』『パンダフルライフ』と同じだ。日本では未公開なので予告動画しか見ることができないのだが、その動画で切り取っているシーンが、神がかってかわいい。

 バンザイの姿勢で頭から滑り台を滑り落ちるパンダ。仲間が入った籠をコロコロ転がすパンダ。飼育員の掃除の邪魔をして喜んでいるパンダ。かと思えば、ボールのように飼育員にコロコロ転がされるパンダ。小川の向こう岸に足をかけたまま、渡れずアタアタしているパンダ。哺乳瓶を両手で持って、あおむけで吸っているパンダ……。こんなに人間の子供っぽい動きをする動物が、ほかにいるだろうか。予告動画だけで心をわしづかみにされること請け合いだ。

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