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禁断の実写化!トラウマ漫画「ミスミソウ」押切蓮介に聞く誕生秘話

「ハイスコアガール」のアニメ化も決定! 代表作が見事な実写映画となった押切蓮介
「ハイスコアガール」のアニメ化も決定! 代表作が見事な実写映画となった押切蓮介

 伝説的なトラウマ漫画として知られる「ミスミソウ」が映画化された。中学生同士のいじめをきっかけに起きる、血まみれの惨劇を一切の妥協なく実写化。その出来栄えに「感謝しかない」という原作者の押切蓮介が、4月7日の公開を控えた今、本作が生まれた背景と共に思いを語った。

【映像】トラウマ級の血まみれ姿…映画『ミスミソウ』予告

 ゲーム文化を交えた少年少女のラブストーリー「ハイスコアガール」などでも知られる押切。「ミスミソウ」は、そんな押切がホラーギャグ漫画でキャリアをスタートさせたことで貼られたレッテルを、払拭するために挑んだ作品だったという。

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 「背伸びした作品だったんですよ。それまで幽霊を素手でぶん殴るギャグ漫画(『でろでろ』)を描いていたけど、それだけの作家なんだって思われるのが嫌だったんです。そういう漫画家が、ギャグのない重いテーマの作品を描いたらみんなビックリするだろうなって。知り合いのギャグ作家が同じことをしたら絶対にくやしいから、やられる前にやろうと思った」。

 舞台は閉鎖的な田舎町。都会から引っ越してきたヒロイン・野咲春花は、転校先の中学校で壮絶ないじめに遭い、ついには同級生たちに愛する家族まで奪われてしまう。心が崩壊した春花による血まみれの復讐劇と、救いと絶望が折り重なった展開は多くの読者に衝撃を与え、現在ではトラウマ漫画の代表として語り草になった。

 「これは古屋兎丸先生(『ライチ☆光クラブ』『帝一の國』)の受け売りなんですが、先生は『漫画家は“はしか”漫画を描くべきだ』って言うんです。はしかって、子供が絶対かかる病気……つまり絶対に通る道なんです。『ミスミソウ』は、僕の描くことができた、唯一の“はしか”漫画だと思います。もちろん、描いているときは無意識でしたけど、いじめや、いじめた相手への復讐心って、子供が必ず通る道なんじゃないかなって。だから、学習教材みたいに子供たちがかならず通る漫画であればいいですね。実際に『ミスミソウ』だけ本当によく増刷かかりますから(笑)」。

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春花役の山田杏奈はまさに“押切ガール” (C) 押切蓮介/双葉社 (C) 2017「ミスミソウ」製作委員会

 そんな自信作の映画版は、キャストからロケーション、暴力描写に至るまで、驚くほど忠実に実写化されている。押切は「僕は、内藤(瑛亮)監督やプロデューサーに、『ミスミソウ』をあげたつもりで、好き勝手やっていいよと伝えたんです。でも、ここまで原作通りにしてくれてありがたかった」と激賞。「キャストの子たちも、どこから探してきたんだってくらい似ていて。特に春花役の山田杏奈さんは、黒目がちな感じとかも僕のテイストそのもの。まさに“押切ガール”だなと思いましたね」。

 一方で、「僕はもともと映画を撮りたかったけど、その力がないから漫画をやってきた部分があるんです。だから、自分がやりたかったことが目の前で繰り広げられている感覚で、いいなぁとくやしさもあります」と複雑な気持ちも。映画は漫画と違う結末を迎えるが、「正直、この手があったのかと思いました。僕は大満足でした」と語る。

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 そんな押切に創作の原動力を聞くと「一番のモチベーションは“怒り”の部分ですね」との回答が。「よく、『なんでこんな目に合わなきゃいけないんだ』っていうことに巻き込まれるんです。そういう、絶対に手出しできないことに立ち向かう気持ちというか。『ミスミソウ』もそうですよね。でも、けっこうそういう作家さんって多くて、年配で大御所の漫画家さんでも怒ってばっかりですよ。それが、けっこう漫画の原動力になってる。ドラマの『家なき子』みたいに、世間からいじめられた主人公が、頑張って復讐していくとめっちゃスカッとする。僕はできたことないけど、そういうのが好きだったんです」。

 数年前には「ハイスコアガール」にまつわる騒動(株式会社スクウェア・エニックスがSNKプレイモアに著作権侵害で刑事告訴され、後に和解が成立)に巻き込まれたこともあった。当時を振り返った押切は「あのころは自分でも『終わった』と思いました」と苦笑しつつ「でも『ミスミソウ』がこうして映画化されて、あきらめないで漫画家を続けてきてよかったと思えました。自信をもらえて、素直に嬉しいです」と笑みを見せた。(編集部・入倉功一)

映画『ミスミソウ』は4月7日より新宿バルト9ほかにて全国公開

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