あの怪優ホアキン・フェニックスがPRに協力的!カンヌ受賞監督明かす
第70回カンヌ国際映画祭で男優賞と脚本賞に輝いた衝撃作『ビューティフル・デイ』のリン・ラムジー監督が17日、新宿バルト9で行われた同作のジャパンプレミアに出席し、プロモーションに消極的と言われているホアキン・フェニックスが本作では協力的だった背景について語った。
『少年は残酷な弓を射る』で高い評価を受けるラムジー監督が、ホアキン主演、ジョニー・グリーンウッド(レディオヘッド)の音楽とともに描き出した本作。元軍人で殺しをいとわない冷徹な人捜しのプロ・ジョー(ホアキン)が、ある組織にとらわれた議員の娘ニーナを救い出すも、自分が恐るべき陰謀に巻き込まれていることを知るというクライムサスペンスで、そのテーマ、ソリッドな映像感覚から“21世紀版『タクシードライバー』”の呼び名も高い作品となっている。
本作の撮影は短期間だったが、スタッフ全員がこの作品が表現しようとしているものは何なのか、その答えを見つけるために全力を傾けたという。そんな熱のこもった撮影を通じて、主演のホアキンとラムジー監督は、非常に良い関係を築き上げることになった。監督は「この作品はわたしたちにとって特別な作品ですからね」と切り出し、「ホアキンのスケジュール的なこともあり、急に撮影ができるようになった。睡眠も取れないくらいクレイジーな撮影だったけど、終わったときはみんな寂しくて。みんなでもう一本作ろうよと言い合うくらいでした」と撮影を振り返った。
もともとホアキンは、インタビューやプロモーション活動にあまり積極的でない俳優として知られている。しかし、本作のプロモーションには積極的だった。監督は「撮影が終わってから、彼と再会できたことが本当にうれしくて。プロモーションにも顔を出してくれたんですよ」と発言。続けて「ロスのアークライトという劇場でも、彼は来る予定がなかったにもかかわらず、サプライズで来てくれた。その時、彼はお客さんにあいさつを行って、『携帯は消して観てね』と言ってくれたんです。彼はそれをする必要はなかったんですけど、そうしてくれた」と笑顔でエピソードを明かした。
さらに監督は、「ホアキンがそういう形でプロモーションに参加してくれるというのは聞いたことがなかった。今の映画界はマーベル的な作品が席巻しているけれども、彼のような俳優がこういった小さい映画をサポートしてくれるのは本当にうれしいこと」とホアキンの協力に感謝の言葉を述べた。また、「今日もサプライズで、この会場のどこかに隠れているかもしれませんよ。実際に今回の来日の話をしたら、僕も行きたいと言ってくれましたからね」とユーモアを交えて付け加えた。(取材・文:壬生智裕)
映画『ビューティフル・デイ』は6月1日より新宿バルト9ほか全国公開