寺島しのぶ、共演のハリウッドスターに称賛される
女優の寺島しのぶが26日、有楽町の日本外国特派員協会で行われた映画『オー・ルーシー!』の記者会見に平柳敦子監督とともに来場、共演者のジョシュ・ハートネットからビデオメッセージで「彼女ほどカッコよく出番に備えられる役者は今までに見たことがない」と絶賛される一幕があった。
本作は、43歳の独身OLが、英会話教室のアメリカ人講師に恋をしたことで、東京から一路カリフォルニアへ、そこから巻き起こる騒動を描き出した日米合作映画。日本人監督としては10年ぶりにカンヌ国際映画祭批評家週間に選出されたことでも話題となり、2018年のインディペンデント・スピリット賞では新人作品賞と主演女優賞にダブルノミネートされるなど、世界的にも高く評価されている。
外国人記者の前に立った寺島は「こんばんわ。結婚11年目を迎えたこの日に、ここに出席できたことをうれしく思います。自分の作品を観るのは恥ずかしいんで、ほとんど観ていないですが、皆さんの意見はお聞きしたいので、お聞かせください」とあいさつし、会場を大いに沸かせた。
そしてこの日は、『パール・ハーバー』などへの出演で知られ、本作では寺島の相手役を務めたジッシュからのビデオメッセージも流された。「しのぶとは共演シーンが多く、プロモーション中も多くの時間を共有できた」と語ったジョシュは「彼女は英語が話せないと言っていたんだけど、実はウソなんだ。彼女は僕が言っていることをすべて理解していたよ。でもその事実を知ったのは撮影も終わりの頃。そのときはやられたと思ったね。もちろんいい意味でさ」とコメント。
さらにジョシュは「彼女は現場でよくキャンディークラッシュをやっていた。休憩に入ると席に座ってゲームを始めて、撮影が再開したらすぐに役に入る。彼女ほどカッコよく出番に備えられる役者は今までに見たことがない」と撮影現場での様子を明かし、その言葉を聞いた寺島も思わず恥ずかしそうな様子。そして最後に「それから僕を温かく迎え入れてくれて、意見も尊重してくれた。僕はよく質問するタイプだから、うるさいと感じていたなら謝っておく。迷惑をかけていないといいけどね。我慢してくれてありがとう」と締めくくった。
17歳で渡米し、ニューヨークで映画制作を学んだ経歴を持つ平柳監督であるゆえに、撮影もアメリカ流で撮影を行ったという。「アメリカではひとつの場面を複数のカメラを使って、いろいろなサイズ・アングルで一気に撮影するカバレッジというスタイルなんですが、これは日本のキャストには負担だったかもしれない。ジョシュはカバレッジに慣れているんで、むしろやるごとにテンションが上がっていくんですけど、寺島さんはほとんどのシーンに出演されていたんで、負担になったのでは」と心配した様子をみせる平柳監督。
それに対して寺島は「わたしは若松(孝二)組で、テストをやらずに本番だけで演技をする超インディペンデントスタイルに慣れているんで、本番前にテストをやることにすぐに飽きてしまうタイプの女優であることが監督にもわかってもらえた」と返答するも、「ただその本番を何回もやるから、結局は一緒だったんですけどね」と冗談交じりに付け加えて、会場を笑わせた。(取材・文:壬生智裕)
映画『オー・ルーシー!』は4月28日より渋谷ユーロスペース、テアトル新宿にて公開