永瀬正敏「徹夜で来ました」河瀬直美監督とのコラボに自信

　永瀬正敏と、フランスの名女優ジュリエット・ビノシュがダブル主演を務める河瀬直美監督の最新作『Vision』（6月8日公開）の完成報告会見が26日、都内で行われ、永瀬と河瀬監督、共演の三代目 J Soul Brothers／EXILEの岩田剛典、夏木マリ、美波、小曽根真（音楽担当）が登壇した。『あん』（2015）『光』（2017）に続いて河瀬作品に出演する永瀬は「撮影は毎回違います。一度（自分を）ゼロに戻していただいて、また産んでもらうような気がする。毎回、新しい宝物をいただいています」と河瀬監督とのタッグを表現した。

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　河瀬監督が、2017年のカンヌ国際映画祭でビノシュと出会い、コラボが実現したという本作。奈良の神秘的な森を舞台に、幻の植物“Vision”を探しにやってきたフランス人エッセイストのジャンヌ（ビノシュ）と、森を知り尽くす山守の男・智（トモ、永瀬）、謎めいた若者・鈴（リン、岩田）の出会い、数奇な運命が描かれる。

　山守の男・智を演じる永瀬は「世界が絶賛する『カワセ・グリーン』という緑の世界に、また戻ってこれて、そのグリーンの中に立てるのは幸せです」と話した後、河瀬監督の撮影方法を『カワセ・メソッド』と呼んで「森で生きる智になるため、クランクインの2週間前から森で暮らしたんですが、それは役作りじゃないんです。智として血液を入れ替える、心を入れ替える作業を丁寧にやっていく」ことと説明。

　「完成した本作を、昨日初めて試写で観て、家に帰ってから心がどんどん震えてきてしまって、結局眠れなくなり、今日は徹夜でここ（会見）にきました」と、その出来栄えに感嘆の表情を浮かべていた。

　自然と共存し、鋭い感覚を持つ女性・アキにふんした夏木も「カワセ・メソッド」を「（ロケ地の）吉野の山に住み、実際に生きて暮らしているところに、ドキュメンタリー・カメラが入ってくるような感じ」と独自の言葉で表現。「みんなでよもぎ団子を食べるシーンも、実際によもぎを摘みに行くところから始まり、みんなで団子を作って、それを並べるんですよ」と河瀬組の徹底した演出を振り返った。

　最後にマイクをとった河瀬監督は、「吉野という再生の地に、日本とフランスの俳優たちが何かに引き寄せられて集まり、映画が出来上がり、またそれぞれ離れていった。でも、もう一度あの人に会いたいという思いや気配があれば、また何かが再生するはず。この映画もそういう映画です」と渾身の一作への思いを語った。（取材／岸田智）