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『勝手にふるえてろ』ヒロインは反社会的?韓国での反応に監督は…

第19回全州国際映画祭に来場した大九明子監督
第19回全州国際映画祭に来場した大九明子監督

 芥川賞作家・綿矢りさの同名小説を松岡茉優主演で映画化した『勝手にふるえてろ』が韓国・全羅北道全州市で開催中の第19回全州国際映画祭で上映され、6日、大九明子監督が観客との質疑応答に登壇。「わたしのわがままな映画に共感していただけるのが嬉しいです。映画を観てくださる人が増えるほどわたし自身も浄化され、成長できる気がします」と自分の考えに共感する観客に感謝していた。

【動画】松岡茉優主演×綿矢りさ原作『勝手にふるえてろ』予告編

 本作は、松岡演じる24歳の会社員ヨシカが、突然告白してきた職場の同期(渡辺大知)とのリアルな恋愛と、中学時代から片思いしていた同級生(北村匠海)との脳内恋愛の間で迷走するさまを描く物語。新垣結衣主演映画『恋するマドリ』(2007)などで知られる大九監督がメガホンを取った。

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『勝手にふるえてろ』舞台あいさつの模様(中央が大九明子監督)

 観客の関心はヨシカというキャラクター。大九自身が綿矢りさの小説の大ファンであり、綿矢の言葉に魅せられていると明かした上で、「ヨシカは自分とイコールであり、小説にはなかったオリジナルなセリフを入れました。自分が伝えたかったことをヨシカを通じて吐き出し、自分のために作った作品でしたが、日本のみならず、海外の映画祭でも多くの観客に共感してもらえた」と予想以上の反響の大きさを喜んでいた。

 観客からは、ヨシカが反社会的な女性でありラブコメの主人公としてはリスクが高くないかとの意見も出たが、これに対し大九は「ラブコメかどうかは観客や宣伝会社が判断することです。わたしとしては死に物狂いでヨシカを紹介したかった。それに、わたしはうまくやってる人間には1ミリも興味はなく、孤独な人間に惹かれるんです。ですから、どんな原作をいただいても、そのような方向性にしたいと強い意志を持っています」と回答。自身が惹かれるキャラクター像をアピールした。

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 その一方で、ヨシカが絶滅した動物に興味を持つ設定は原作にあったが、アンモナイトを博物館から払い下げてもらうのは映画のオリジナル設定だという。「ヨシカの歌唱シーンの『絶滅すべきでしょうか』というフレーズがシナリオを書いているときに思い浮かんだとき、恥ずかしながら泣いてしまったんです。世の中に対してなのか、映画界に対してなのか、(自分は)すごくすねているんだと自覚させられるところもあり、絶滅した動物というヒントがあったことで、わたしもすごく吐き出すことができた」と原作に大きく影響されたことを明かした。

 韓国の観客の反応について聞かれると「日本でもそうですが、皆さん、わたしが意図した通りに反応してくれます。ですが、韓国のお客さんは手を叩いて拍手してくださり、イタリアのお客さんは立ち上がってスクリーンを指さすなど表現が豊か」と日本以上にストレートな反応に感慨深げ。

 なお、同映画祭での初上映は5日に駐車場に作られた仮設の全州ドーム(2,600席)だったが、大九監督は「上映中に外から救急車のサイレンの音が聞こえて驚いた」と言い、「今日の映画館の音響は素晴らしかった」と6日の上映環境に満足していた。(取材・文:土田真樹)

第19回全州国際映画祭は12日まで開催

松岡茉優が歌う!泣く!叫ぶ!映画『勝手にふるえてろ』予告映像 » 動画の詳細
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