『ベスト・キッド』続編ドラマ、オリジナル版キャストを動かしたのは製作陣のベスト・キッド愛
1984年に公開され大ヒットした映画『ベスト・キッド』。YouTube の定額サービス「YouTube Red」(日本からは利用不可)での続編シリーズ「コブラ・カイ(原題)/ Cobra Kai」について、ラルフ・マッチオ、ウィリアム・ザブカ、そして脚本を手掛けたジョシュ・ヒールド、ジョン・ハーウィッツ、ヘイデン・シュロスバーグらが、5月2日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
本作の舞台は、オリジナル版から34年が経過した現在。かつては不良グループのリーダーで空手少年だったジョニー(ウィリアム)は、妻と別れ、会社もクビになり、すさんだ生活を送っていた。ある日、不良グループにいじめられていた少年ミゲルを助けたことから、ジョニーは自身が所属していた空手道場・コブラ会を再開させるが……。
34年も経過した今、なぜ続編を手掛けることになったのだろうか。34年間ずっと、トレーニングをして待っていたというウィリアムは、「(全話)ストリーミングができる時代であること、その形態で新たなストーリーを伝えることに意味があると思ったんだ」と答える。続けて、ラルフは「そんな(企画の)大きな部分を担ってくれたのがこの3人(ジョシュ、ジョン、ヘイデン)で、新鮮かつ現代に適したアングルで、オリジナルの伝説や郷愁を大切にしながら描いてくれたんだ。僕らにプレゼンされたもの(脚本)は、かなり熟考されたものだったよ」と明かし、製作陣がオリジナル版とそのキャラクターに敬意を表して描いてくれたことにも感謝した。
脚本を手掛けた3人はみな映画『ベスト・キッド』の、しかもコブラ会とウィリアムのファンだったと語るジョン。「僕らが脚本家としてL.A.で活動していた20代のときに、キャストのインタビューを含めた『ベスト・キッド』のスペシャル・エディションが発売されたんだ。そのインタビューで、ジョニーをヒーローと見立てていたことが語られていてね。もしジョニーの視点からコブラ会を見つめた作品を手掛けたら、面白いのではと思い始めたんだ」と製作経緯を明かした。
こうして描かれたジョニーのキャラクターについて、「(ジョニーは)前作のようなイジメ役だったり、オリジナル版をリピートしているわけではないことを製作陣が説明してくれたんだ。彼らのジョニーへの愛情も感じられたし、アンチヒーローのように描かれていることが、僕にとってとても魅力的だったんだ」とウィリアムも絶賛。まさに相思相愛な作品となった。
そんな今作は、オリジナル版での未公開映像が使用されていることも話題だが、それについて「オリジナル版を手掛けたソニーに『デイリー(編集用下見のフィルム)はあるか?』と聞いたら、近くで保管されていたんだ」とジョン。そこには、最後のトーナメントを6つのカメラで撮った映像があり、今作のオープニングはその映像と新たに撮影したもので製作されたと明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)