『ニンジャバットマン』自由度は意外に高かった、脚本家らが明かす
アメリカの人気ヒーロー、バットマンが日本の戦国時代を舞台に死闘を繰り広げる話題のアニメ『ニンジャバットマン』(6月15日 公開)について、脚本家の中島かずきとキャラクターデザインの岡崎能士が、5月2日(現地時間)、ニューヨークの紀伊國屋で行われた特別トークイベントで語った。
時は戦国時代。現代の犯罪都市ゴッサムシティから悪党たちがタイムスリップして、日本にやって来る。たちまち戦国大名の座に就いた悪党たちが国を荒らし回り、世界の歴史が変わる危険を感じたバットマンは、キャットウーマンらと共に歴史改変を阻止するために立ち向かう。監督は、テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」のオープニングを手掛けた水崎淳平。バットマンの声優を山寺宏一が務めた。
今作を手がけるにあたり、中島はDCコミックスから「バットマンは人を殺さない。銃などを撃つ際も、物は壊すが人は撃たない。それだけは守ってくれと言われましたね」とバットマンならではの注意事項があったことを明かす。対する岡崎は「デザインに関しては本当に自由でしたね。ちょっとセクシー過ぎたりすると、『もう少し隠してください』という指示はありましたけれど(笑)。例えばポイズン・アイビー、ハーレイ・クイン、キャットウーマンなどはそうでした」と話し、意外にも自由度が高かったことを明かした。
その内容については、「子供の頃から日本アニメがずっと好きで、『宇宙戦艦ヤマト』『ガンダム』などいろいろ観てきました。そうした作品の中から、自分が好きだった要素に敬意を表しながら、その上に自分たちのアイデアを乗っけていきました。さらに今回は、日本的な特撮アニメのある種のお約束を、バットマンたちに味わってもらおうというのが日本側のコンセプトでした。そのために日本のアニメのエッセンスを凝縮したものを集めて、ぶつけたのが本作だと思っています」と本作への自信をのぞかせる中島。続けて岡崎も、「今回は3Dモデルのキャラクターだったので、ディテールをかなり詰め込んで作りましたね。これだけ詰め込んで描いたのは初めてです。それを、そのまま水崎監督が動かしてくれたので、そこが今まで僕が関わったアニメと違うところでした」と語った。
今作の面白さの一つに、どの悪役がどの大名になっていくのかという点があるが、それについて中島は、「もともと日本の戦国大名のイメージに合い、しかも日本人の誰もが知っている有名な悪役を集めました。意外とシンクロしたのは、右目を撃たれたデスストローク(本名スレイド・ウィルソン)が伊達政宗。ポイズン・アイビーは上杉謙信で、謙信には女性説があって、それを利用しました。トゥーフェイスは織田信長を裏切った明智光秀にして、そういう形で当てはめていきましたね」と説明。DCの悪役と日本の大名の意外な共通点を見いだすのもまた、本作の楽しみ方の一つといえそうだ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)