『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』大興奮のテニスシーンはこうして生まれた!
映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』の監督コンビ、ヴァレリー・ファリス&ジョナサン・デイトンが来日してインタビューに応じ、同作のエキサイティングなテニスシーンをどのようにして作り上げたのかを語った。
1973年に行われた女子テニスチャンピオン、ビリー・ジーン・キング(エマ・ストーン)と、盛りを過ぎた元男子チャンピオンのボビー・リッグス(スティーヴ・カレル)の“性別を超えた戦い”とそれに至るまでを描いた本作。テーマの一つとして男女の待遇格差という現代にも通じる問題を扱いつつも、それぞれのキャラクターの人間ドラマをしっかりと描いた驚くほどエンタメ性の高い作品で、タイトルにもなっているテニスの「男女対抗試合」は一瞬も目が離せない面白さだ。
このテニスシーンを作るにあたっては、実際にテレビで放送された試合映像を見返すことから始めたという。ジョナサンは「その映像を編集して、10分のバージョンを作ってみた。どんな得点があり、流れがあるかを把握するためだけにね。それを僕らの試合を振り付けるためのモデルとして使った。実際にテレビ放送と同じショットもたくさん使った」と真実味を出すため、カメラアングルも当時と同じものを採用したと振り返る。
お祭り男のボビーが仕切った試合はとにかく派手で、ヴァレリーいわく「全てがバカげたスペクタクル」だったが、実際の試合展開はエキサイティングとはいえないものだった。ヴァレリーは「実はビリー・ジーンはとても簡単に勝ったの。わたしたちはどの得点シーンを見せるかを考えて、できる限りドラマ性のあるものにしようとした。音楽も緊張感を生み出す助けになったわ。この映画で難しかったことの一つは、この2時間半のイベントを8分に圧縮することだった。ある意味、とてもつまらない試合だったから(笑)。(男対女という政治的な意味も持ったこの試合を)ビリー・ジーンはもちろん軽く考えたりはしていなかったし、わたしたちは試合を常に面白くして、観客にその重要性を感じさせる必要があった」とテニスシーンで目指したものを明かした。
エマ・ストーンとスティーヴ・カレルの代わりに実際にプレーしているのは、プロのテニスプレイヤーたちだ。彼らにはエマとスティーヴのプレースタイルを学んでもらったものの、その後は「どうぞ! ポイントを取って!」とただ送り出して真剣勝負をしてもらい、「今の、いいポイントだ!」と監督たちが興奮したものが映画に使われているという。こうして、当時の熱狂とテニス本来の面白さに満ちた圧巻のシーンが誕生した。(編集部・市川遥)
映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』は公開中