乃木坂46・齋藤飛鳥が“表現者”として得たもの
乃木坂46でアイドルとして活動するほか、女性ファッション雑誌「sweet」ではレギュラーモデルも務めている齋藤飛鳥が、10月5日公開の映画『あの頃、君を追いかけた』でスクリーンデビューを果たした。主人公の浩介(山田裕貴)と甘酸っぱい恋模様を繰り広げるヒロインの真愛を演じた齋藤が、今回の作品を通して“表現者”として学んだことを語った。
映画初出演について、「最初に一番大きかったのは、なんで私なんだろうなっていう疑問でした。あまりお芝居もやったことがなかったし、映画も初めてなので、私に務まるのかなという不安が最初にありました」と正直な気持ちを吐露した齋藤は、「お芝居の経験が浅いことがどうしても引っかかってしまって、不安を抱えたまま現場に入りました」と撮影当初を振り返る。
「真愛ちゃんは魅力的な女の子なので、演じるにあたってやっぱり作り込まなきゃいけないのかなとか、どうしたら魅力的に見えるのかなと考えていました」。そんな齋藤の不安は、“リアルな学生の話”であることを大事にしたいという長谷川康夫監督の言葉や、周囲の人の助言で次第に解消していった。「真愛ちゃんに成り切ろうというよりは、真愛ちゃんに寄り添いたい、真愛ちゃんがどういう気持ちなのかを深く考えて演じたいなと思いました」
齋藤にとって、真愛のセリフに共感ポイントが多かったことは演じる上で大きな助けになったようだ。「『私のことを良く思いすぎてない? きっと美化してる』という、“あなたが思ってるような人間じゃないよ”っていうことを伝えるセリフがあるんですけど、私も普段周りの人やファンの方とかに対してすごく言っている言葉だなと思って」。そう嬉しそうに語る齋藤からは、自身が演じた真愛への愛着がにじみ出ていた。
アイドル、モデルと幅広く活躍する齋藤は、今回の現場で女優にも同じ“表現者”として共通するものを感じた様子。なかでも、「演じることを照れる必要はない」という気付きは、今後に生かせる大きな教訓となった。
「ミュージックビデオで“こういうシチュエーションで演じてください”みたいな時に、メンバー同士でちょっと恥じらったり、照れくさかったりする気持ちがたまにあるんです。でも今回、別の人格になってカメラの前でお芝居したり何か演じたりすることは全然恥ずかしいことでもないし、照れる必要はないんだと思いました」(齋藤)
女優は“誰か別の人物に成り切る”という点で新たな挑戦だったようにも思われるが、本人は「表現するということでは、アイドルもモデルもどこか繋がっているんじゃないかなと思います。お芝居だから特別にスイッチを入れるとか、違う人に成り切らなきゃいけないから切り替えるとか、そういうのは今回あまりなかったかもしれないですね」と気負いはない。齋藤のオールマイティーな活躍ぶりの秘訣は、肩の力を抜いて自然体でいられるからこそ、どんな色にも染まれるところにあるのかもしれない。(編集部・吉田唯)
映画『あの頃、君を追いかけた』は公開中