倉科カナ、長ゼリフでNG連発 号泣エピソード明かす
女優の倉科カナが26日、TOHOシネマズ日比谷で行なわれた映画『あいあい傘』の初日舞台あいさつに、市原隼人、立川談春、原田知世、宅間孝行監督と共に登壇。作品の内容にちなんで「今年、一番泣いた思い出」を聞かれた倉科は、某刑事ドラマで悔し涙を流したエピソードを明かした。
「某刑事ドラマを毎年やっているんですが、すごく長いシーンで、セリフも説明セリフが長くて、何度やってもNGを出してしまって。それで、放心状態で帰りのクルマに乗ったら、ショックで現場にカバンを忘れて……。帰り道、もう号泣でした」と、テレビドラマの現場でNGを連発した際の思い出を振り返った倉科。
この倉科のエピソードに、落語家の立川がすかさず反応し「聞くのも野暮ですが、セリフが言えなくて泣いたのか、カバンを忘れて泣いたのか、どっち?」と問いただすと、倉科は「どっちもですね。相打ちで、ボロボロに泣きました」と恥ずかしそうに答えながら、女優魂の片鱗もうかがわせた。
本作は、25年前に姿を消した父・六郎(立川)を捜して、ある田舎町を訪れたカメラマンのさつき(倉科)が、新しい家族と暮らす父に再会し、現在の父を知る町の人々と触れ合いながら、苦悩や葛藤を昇華していくさまを描く物語。2012年に解散した劇団「東京セレソンデラックス」が2007年に上演した舞台を、劇団を主宰していた宅間が自らメガホンを取り、映画化した。
生き別れてしまった父と娘の、切なくも心に沁みる5日間の物語。倉科は、主演作が公開日を迎えた感慨を「父がいなかったという境遇が(自分とさつき役とは)一緒で、その過去は、気持ちとして負のようでもあったりしたのですが、負の要素を糧として演じることで、過去をいい思い出に変えられた。わたし自身、救われた作品になりました」とまっすぐな視線で語り「今日から、我が子を皆さんに託すような、うれしいようなさびしいような気分です」「観ていただくたくさんの人の心に、温かい明かりが灯ればいい」と真摯にメッセージしていた。(取材・文/岸田智)
映画『あいあい傘』は公開中