ほぼ下ネタ野沢直子初監督作から加藤雅也&飯島直子の実験的映画も!幻のショートフィルムが味わい深いブルーバード映画祭
大分県別府市で23日より開催されている第2回Beppu ブルーバード映画祭で上映されているショートフィルムセレクションが斬新で毎回満席に近い観客が席を埋めている。(編集部:下村麻美)
同映画祭は、1949年に開業した大分県別府市にある別府ブルーバード劇場の館長で今年87歳の岡村照館長の功績をたたえるもの。JR別府駅近くにあるこの映画館は地元の多くの人に愛され、子供からお年寄りまで広い層の観客が訪れる。そのため映画祭のラインナップもバラエティーに富んでおり、大島渚監督の『少年』、津田寛治の主演『名前』、真木よう子の『焼肉ドラゴン』、本映画祭でプレミア上映される室賀厚監督『デリバリー』をはじめユニークだ。なかでも秀逸なのがショートフィルム・セレクション。
通常ショート・フィルムの上映会というと一部の映画好きやマニアが席を埋めるが、このブルーバード映画祭に限っては、半分以上が地元の幅広い年齢層の観客だ。しかも、ゲストの来場も手伝ってか毎回満席に近い。10分から20分の映像の中では笑いや感嘆の声があがる。
まずラインナップがユニークでしかもロックだ。野沢直子の初監督作品「Monkfish Dream」はほぼ全編下ネタ。映像に衝撃を受ける観客も最初は戸惑うがやがて全観客席から笑いと拍手が沸き起こる。しかしお下劣の極みと言っても間違いではないこの映画、この映画祭以外で今後見かけることはなかなかできないかもしれない。真の意味で幻の映画だ。
また、加藤雅也&飯島直子二人しか登場人物がいない『ホテル・エルミタージュ』も斬新。目の見えない男(加藤雅也)と口のきけない女(飯島直子)の切ないラブストーリー。ゲストで登壇した加藤は「監督がおらず、カメラマンが好きなカットを抜き出して編集するという実験的な映画だった。撮っているときは延々と終わらなかった」というほど、映像は自然に流れなおかつ芸術的に美しい。過去に一度しか映画祭で上映したことがなく今回が2度目の上映になるという。
俳優の津田寛治が監督した映画『子象*デカ』は、ぬいぐるみのかわいい子象が殺人事件を解決するというシュールな作品だが、ぬいぐるみのストップモーションと人間の実写の動きを組みあわせて撮るという手の込んだ手法で撮影されている。わざわざこの難しい手法を取り入れた理由をゲストで登壇した津田は「子象のぬいぐるみがとてもかわいかったのでいつか何かに使いたかった」と明かし観客をわかせた。同作品はファンの間では伝説となっている下北沢トリウッドで開催された刑事まつりで上映された作品で、この作品もそれ以降2度目の上映となる。
同映画祭は、本日25日が最終日。『名前』の上映で津田寛治、『デリバリー』のプレミア上映で長濱慎、中原翔子、『プリシラ』の無料上映で、ブルボンヌがゲストで登壇する。