車で東京から九州まで来たアツい監督が登壇!低予算でもハイクオリティーの『デリバリー』披露
第2回Beppu ブルーバード映画祭で初上映された映画『デリバリー』の舞台挨拶に登壇した室賀厚監督は、「東京から九州まで車で来た」と発言し観客を驚かせた。同映画祭には主演の鈴木つく詩、長濱慎 、中原翔子、行永浩信、佐藤邦洋も登壇した。映画『デリバリー』はその監督のアツさが伝わってくる作品だ。(編集部:下村麻美)
同作は低予算製作ながらそのクオリティーから高評価を受けた『SCORE』や、『復讐したい』『GUN CRAZY』シリーズなどの室賀厚監督の新作。ピザのデリバリー先の客と配達員との間のほんわり温かい物語……ではなく、セクシーな殺し屋が登場し派手な仕事をしたかと思いきや、狭い部屋で全員が銃口を向け合う緊迫感や、小沢仁志演じる存在感あるやくざはノワール映画の持つ迫力でスクリーンからほとばしる。
「いつものように予算がない」という室賀監督の言葉どおり、訳ありでピザ店の店長となっている主人公早希を演じる鈴木つく詩は、わずか5日の撮影期間であったことを明かす。また殺し屋を演じた中原翔子の衣装は自前のもので30年前のものだとコメントした。そんな手作りを感じさせられるエピソードとは裏腹に作品のクオリティーは高い。どこの部分か言われなければ分からないようにちりばめられたCGは効果的で、本当にやったの? と目を疑う爆発シーンなど娯楽映画としてのリアリティーは十分だ。同映画祭でも満席の観客からは笑い声と拍手がたびたび起こっていた。
しかし、『デリバリー』は、この日が初披露ということもあり上映に名乗りを上げたのは目下のところ本映画祭の会場である別府ブルーバード劇場のみ。映画祭で上映され全国で上映されることなく消えていく映画も多いが、『デリバリー』は今後に期待したい作品だ。