「風の谷のナウシカ」初の歌舞伎化!原作全巻を完全上演
宮崎駿監督による同名漫画を原作とした新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」が、2019年12月に上演されることになった。宮崎作品が歌舞伎舞台化されるのは初めて。スタジオジブリの関連作品歌舞伎舞台化も初となる。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは「ナウシカを古典歌舞伎でやる。それが面白いと思ったし、どういうものが出来るのか楽しみです。一観客として、楽しませて貰います」とコメントした。
漫画「風の谷のナウシカ」は1982年に雑誌「アニメージュ」にて連載が始まり、1994年に完結。単行本全7巻の発行部数は1,600万部で、海外でも翻訳・出版されている。連載中の1984年には宮崎監督自ら映画化し、国民的人気作として今なお愛され続けている。
歌舞伎版では原作全巻を完全上演し、昼・夜の部通しで、映画では描かれなかった原作の壮大なストーリーの全てを舞台化する。主人公・ナウシカを演じるのは尾上菊之助。ナウシカと対をなすトルメキアの皇女・クシャナを演じるのは、スタジオジブリ映画『かぐや姫の物語』(2013年、高畑勲監督)で御門の声を務めた中村七之助。ほか尾上松也、坂東巳之助、尾上右近が出演する。
脚本を手掛けるのは、松竹シナリオ研究所に通った経験があり、スタジオジブリ映画『思い出のマーニー』『コクリコ坂から』『借りぐらしのアリエッティ』『ゲド戦記』の脚本家の1人として名を連ねた丹羽圭子。演出は、歌舞伎「NARUTO-ナルト-」でも手腕を発揮したG2が担当する。公演は来年12月に新橋演舞場で行われる。(編集部・小松芙未)
原作漫画のストーリー
巨大な産業文明は火の七日間と呼ばれる戦争によって滅び、大地の殆どは巨大な蟲が生き、有毒な瘴気を発する菌類の森・腐海に覆われた。それでも人間同士の争いは止むことが無く、トルメキア王国と土鬼諸侯国連合帝国の二大国が対立している。
「風の谷」は風を操る民が住む辺境の小国でトルメキアとは古い盟約を結んでいる。
ナウシカは族長の娘で、人々が恐れる腐海に親しみ、蟲を愛し、心を通わせ、腐海が生じた謎を解き明かしたいと思っている。
ある時、風の谷と同じく、盟約を結んでいる小国ぺジテで、火の七日間で世界を焼き尽くした兵器「巨神兵」を復活させる力を秘めた秘石が発見された。トルメキアは秘石を手にするためぺジテを滅ぼし、さらに土鬼との戦争を始める。
偶然、秘石を手にしたナウシカは盟約を守り出陣すると、愚かな戦争や、腐海や蟲の起こす困難に立向かい、黄昏行く世界に希望の光を灯す為、歩み続ける。