パナマ文書事件に迫ったドキュメンタリー、監督が語る
世界中を騒がせたパナマ文書の事件に迫ったドキュメンタリー映画『ザ・パナマ・ペイパーズ(原題)/ The Panama Papers』について、アレックス・ウィンター監督が、11月26日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
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同事件は、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」によって作成された租税回避行為に関する文書を、ドイツの新聞社「南ドイツ新聞」が匿名の情報提供者から入手し、世界中の政治家や著名人などの脱税行為が問われた一件。本作は、告発者から連絡を受けたジャーナリスト、フレデリック&バスティアン・オーバーマイヤーやICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)の観点で、その真相を追ったドキュメンタリーになっている。映画『ビルとテッドの大冒険』などに出演し、近年はドキュメンタリー映画の監督としても活躍するアレックス・ウィンターがメガホンを取った。
製作経緯についてウィンター監督はこう語る。「僕はこれまでジャーナリズム、内部告発者、データ流出などに関するさまざまなドキュメンタリー映画を手掛けてきた。そんな世界にしばらくハマっていて、もともとこのパナマ文書の事件についても興味を持っていたんだ。そこで、本作を二つに分けて調査しようと決めたんだ。まず、パナマ文書がもたらす意味に触れること。次に、同事件は速報ニュースとしては大きく扱われたけれど、思ったほど世界に衝撃を与えなかったから、本作が(人々の理解の)手助けになれば良いと思ったし、なぜ衝撃を与えなかったのか、追求してみるのも面白いと思ったんだ」
また、構成を決めた時期については「ほとんどのドキュメンタリーにおいて、時系列をいかに配分して構成していくかを決めるのは難しいんだ。本作も同様だったよ。事件のニュースが世間に公表されても、まだまだ(同事件に関する)新たな出来事が日々増えていく。事実、撮影の半ばで、ジャーナリストの一人が暗殺されたり、新たなストーリーが報じられたりしたからね。だから、ジャーナリストの大筋の観点で捉えながら、すでに起きたことと現在起きていることとのバランスを図って構成していったよ」と明かし、映画を通してパナマ文書の事件を人々に伝えることが重要なのかを問うているのだと語った。
では、この事件の重要性を人々にどのように伝えようとしたのだろうか。「僕がこれまで手掛けてきたドキュメンタリーや通常のドキュメンタリー映画では、直接過ぎることをあえて避けて、できる限り(直接過ぎない)他の方法で観客に(事件や出来事を)伝えようとしてきたと思うんだ。でも、この事件の裏に隠された問題は理解するのが困難に思えて、逆に(脱税行為のために)かなり単純にも感じられたから、今作では(観客に対して)かなり直接的に伝えているんだ。つまり租税回避行為が、一般の人たちの医療問題、教育問題、あるいは清潔な水にまでも影響を及ぼしていることを直接伝えているんだよ」と強調した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)