あんなシーンも!『ファンタビ』には未公開シーンが大量に存在!
映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のデヴィッド・イェーツ監督が電話インタビューに応じ、大量の未公開シーンの存在を明かした。ハリー・ポッター魔法ワールドシリーズを本作まで6作手掛けてきたイェーツ監督だが、「この映画にはこれまで僕が作ってきたどの映画よりも、たくさんの未公開シーンがある」のだという。
編集作業中、編集室の一方の壁には「劇場公開版」の各シーンの写真、そしてもう一方には「カットしたシーン」の写真を貼っていき、一目でどんな映画になっているかがわかるようにしているというイェーツ監督。『黒い魔法使いの誕生』では「カットしたシーン」が「劇場公開版」の約半分もあったといい、「たくさんのキャラクターが出てくるからなかなか全てを見せることができなくて。今の劇場公開版には満足しているけど、たくさんの未公開シーンはもちろんDVDに入れるつもりだよ」とファンに請け合った。
そして、シネマトゥデイではキャスト来日時にそれぞれの“お気に入りの未公開シーン”を直撃! 以降ネタバレを含むので鑑賞後にどうぞ。(編集部・市川遥)
ジェイコブ役ダン・フォグラー&クイニー役アリソン・スドル
◆惚れ魔法にかけられたジェイコブのシーン
ダン:撮影ではもっとクレイジーだったんだけど、本編ではちょっとトーンダウンしていたね。
アリソン:わたしたちはワイルドなこともやったの(笑)。
ダン:あの魔法の影響下にあると、何もかもが素晴らしく見える。食事中に塩を振ったら「これは世界最高の塩だ!」となってもっと塩をかけるんだけど、あれは“魔法の塩”だから無くなることなくずーっと流れ続ける。ジェイコブはそれにも魅了されて「すげえ!」って(笑)。どんどんクレイジーになっていったよ。
◆ジェイコブとクイニーの路上口論シーン
アリソン:本編にもある路上で口論するシーンはお気に入り。交際を始めてしばらくたった現実世界のカップルのように二人も問題を抱えていて、愛も、いらだちも見ることができるから。だけど、あれはもともともっと長いシーンだったの。口論の最中に、ジェイコブが「僕は何でこんなにベタベタしてるんだ?」って言うシーンがあって……彼は自分でビールをかぶっていたのよ(笑)。すごく緊迫していたんだけど、その言葉を聞いて彼女は笑いが止められなくなって、二人とも笑い出すというシーンがあった。とてもスウィートな瞬間だったわ。
ダン:そう、僕たちはたくさん笑って、そうしたら雷の音が聞こえて……。
アリソン:「こんな美しい夜に!」って言った瞬間に雷雨になるシーンもあったね(笑)。
◆パリの地下水路でのシーン
ダン:ニュートが地下水路でティナを見つけるシーンで、僕たちが閉じ込められてしまうのは本編にあったけど、あの後、本当は水の中からドラゴンが出て来た。イカみたいな気持ち悪い寄生虫も向かってきてね。僕たちは「何てこった!」と急いで檻を開けようとするんだ。で、このドラゴンの部分がカットされたから、皆が見るのはピケットがカギを開けてくれて僕が「ハッハー! ピケット!」って歓喜するところ(笑)。僕のリアクションが異常に大きい感じになってしまった(笑)。ドラゴンが僕らの後ろに居たと考えれば、あのリアクションの理由をわかってくれるでしょ!(笑)
ティナ役キャサリン・ウォーターストン
◆クイニーとジェイコブの交際についてのティナの視点
キャサリン:この映画では、ティナから見たこの件についてはあまり描かれていないわ。クイニーが言うことだけよ。クイニーが、ティナは二人に一緒になってほしくないと思っていると感じているのは理解できる。でも、ティナがこのことについて何か言うとしたら、「二人とも傷ついてほしくない」ということ。彼らがアメリカで結婚したら、クイニーは刑務所に行くことになる。妹の安全こそ、ティナが心配していることなの。もちろん彼女もジェイコブを愛しているし、ジェイコブを認めていないわけじゃない。二人が付き合うことで何が起こるかを心配しているだけ。(本編に入れてほしかった削除シーンについては)これまで考えたことはなかったけど、クイニーに何が起きたのかわたしサイドから語るシーンもあったから、多分それが含まれていたらよかったかな!(笑)
◆フランス魔法省でリタ(ゾーイ・クラヴィッツ)と一緒にニュート(エディ・レッドメイン)を救うシーン
キャサリン:まず撮影がすごく楽しかった! それに第1弾『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』で恐ろしい“死の池”から、ティナがニュートの腕に飛び込むシーンのいい対比になってもいた。お互いに助け合うというのを見せられるシーンだったの。あとフランス魔法省は床がすごくすべりやすくて、わたしたちは滑りまくった。エディは何度か転んでいたと思う(笑)。
ナギニ役クローディア・キム
◆ナギニがパンを盗むシーン
デヴィッド(・イェーツ監督)からの特別な指示はなくて、脚本にも特に書かれているわけではなかったんだけど、ナギニがパンを盗んで、ちぎってクリーデンス(エズラ・ミラー)に分けて路地で食べるシーンがあった。二人は人々から逃げて、身を隠していたから。そこでナギニの皮膚にウロコが出てくるんだけど(※ナギニは蛇への変化を繰り返し、最終的には蛇になってしまうという血の呪いを受けた女性)、クリーデンスがそれを受け止めてくれる。「君のあるがままを受け入れる」と言って……。互いを理解し、哀しみを分かち合う、そんな美しいシーンがあったわ。
◆キャストが集結してクロワッサンを食べるシーン
ほとんど全てのキャラクターが集結してニコラス・フラメル(ブロンティス・ホドロフスキー)がくれたクロワッサンを食べるシーンもあった。皆の手に大きすぎも小さすぎもしない完璧なクロワッサンで、撮影直前に配達されてくるからまだ温かくてすごくおいしかったの。3週間かけて撮ったんだけど、結局そのシーンはなくなっちゃったわ(笑)。エモーショナルなシーンで、デイヴィットは日没直前の美しい空のショットを撮りたがったから、1日に1時間程度しか撮影できなくて。CGでやることもできるのに、そうしたディテールにこだわっているのが素晴らしいと思った。
映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』は公開中