フェリシティ・ジョーンズ主演最新作、ミミ・レダー監督が語る
映画『ディープ・インパクト』、テレビシリーズ「シェイムレス 俺たちに恥はない」のミミ・レダー監督が、新作『ビリーブ 未来への大逆転』(2019年3月22日 日本公開)について、E-mailインタビューに応じた。
【写真】フェリシティが演じたルース・ベイダー・ギンズバーグ判事
本作は、クリントン元米大統領から1993年にアメリカ合衆国最高裁判所の判事に任命されたルース・ベイダー・ギンズバーグの若かりし日を描いた作品。ユダヤ系移民の家庭に生まれたルースは、名門ハーバード法科大学院に入学し、首席で卒業するも女性という理由で法律事務所では門前払いされる。やむなく大学教授になったルースだが、歴史的な裁判となるチャールズ・モリッツ vs アメリカ合衆国内国歳入庁の訴訟に関わっていく。
ルースの長いキャリアのなかで、チャールズ・モリッツ vs アメリカ合衆国内国歳入庁の訴訟を中心に描いたことについて、レダー監督は「これは、介護する人間は女性と想定されていた当時、病気を患う母親のために介護士を雇おうとしたチャールズ・モリッツが未婚の男性だという理由で、減税を否定されて、訴訟を起こしたものなの。脚本家のダニエル・スティープルマンは、自身の叔母であるルースにアプローチをかけて、この訴訟を基に脚本を書きたい旨を伝えたのよ」と説明した。
フェリシティ・ジョーンズを主演に据えたことについては「彼女には多くの魅力的な要素があったわ。思慮深く、人への理解力を持っているの。彼女は演じるキャラクターのエッセンスを見つけ、彼女の周りのキャラクターへのリサーチもしっかりこなしてきたわ。もともとわたしたち、ルースのドキュメンタリーを描くつもりはなくて、彼女のヒロイズム(英雄的行為)を描きたかったの。フェリシティは、そんな若き日のルースに深く入り込んで、ルックスだけでなく、ルースの魂までも具現化してくれたわ」と称賛した。また、ルースと夫マーティンとの関係については「彼らの関係は、平等なパートナーシップだったわね。それは、1950年代では進歩的で、画期的な結婚で、今でも男女両方が努力すべきという良い見本だったと思うわ」と魅力的なカップルであると語った。
観客には今作を通して、どんなことを理解してほしいのかとの問いには「誰もが自分の声(ヴォイス)を持っていることを理解してほしいわね。そして誰もが、今の複雑な政治の時代(トランプ政権下)に、自分の声を使って、信念を持って立ち向かって、物事を変えることができると信じてほしいわ」と答えた。ルースはすでに今作を3度鑑賞したそうで、「今作を愛し、われわれがしっかり(地位向上のための)女性運動を捉えていたことを誇りに思ってくれたわ。ルースはこの国を、わたしたちにとって、より自由で、より良い場所にしてくれたの」と感謝した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)