オダギリジョー監督作に柄本明、村上虹郎 『ある船頭の話』9月公開
俳優オダギリジョーが、約10年ぶりにメガホンをとる『ある船頭の話』が9月より公開されることが決定した。橋の建設が進む山村で船頭として働く男を主人公にした物語で、船頭のトイチ役は柄本明、彼と交流のある村人役は村上虹郎に決定。撮影監督にクリストファー・ドイル、衣装デザインにワダエミと豪華布陣が集結している。
【動画】オダギリジョー出演×クリストファー・ドイル監督『宵闇真珠』予告編
2009年の『さくらな人たち』(劇場未公開)で監督デビュー(小田切譲名義)を果たしたオダギリ。監督第2作となる『ある船頭の話』は、自身が長年温めてきたオリジナル脚本。川岸の小屋に住む船頭のトイチ(柄本)が、一人の少女との出会いを機に人生を一変させていくさまを描く。村上はトイチのもとに遊びに来る源三役で出演。柄本、村上は『武曲 MUKOKU』(2017)などで共演している。
撮影監督は、『恋する惑星』『ブエノスアイレス』などウォン・カーウァイ作品で知られるクリストファー・ドイル。昨年12月に公開されたドイルの監督作『宵闇真珠』ではオダギリがキャストとして参加した。衣装を黒澤明監督作『乱』(1985)で第58回アカデミー賞衣装デザイン賞に輝いたワダエミが担当。アルメニア出身のジャズ・ピアニスト、ティグラン・ハマシアンが、本作で初の映画音楽を手掛ける。
主な撮影は昨年の7~8月と今年1月に行われ、11日にオールアップ。今春の完成を予定している。オダギリ、柄本、村上のクランクアップコメントは以下の通り。(編集部・石井百合子)
<オダギリジョー監督>
人が生きる上で、便利な物が増えていくのは必然だと思います。しかし同時に、文明の発展の陰で消え行く物も多いのではないでしょうか。便利になっていく一方で失ってしまう大切な何か。
資本主義が競争社会を生み出し、いつの間にか変わってしまった『幸せ』の定義。
一人の船頭を通して見つめる『本当に人間らしい生き方とは?』美しい日本の原風景を季節と共に切り取り描きたいと思っています。
<柄本明>
オダギリジョー監督に船頭の役を頂きました。
一生懸命演りました。見て頂ければ幸いです。
<村上虹郎>
灼熱の日差しに焼かれながらも、雄大な川の上で柄本さんが漕いてくださる舟にたくさん乗りました。
これでもかと言わんばかりの魅力的な集団の一員として、両極の季節を跨ぎ、夏はあの生き物とあんな事をして、冬はただただ寒くて死にそうで。
柄本さんとは、この頃作品でお逢いし過ぎて毎度なんだよお前って煙たがられ、この作品でもずっと話しかけている役なのでそろそろ嫌われそうですが、時々話す英語がいきなりすぎたり、急にぽろっと哲学が出てきたり。とても贅沢です。
容赦無く移りゆく景色と時間を優美に描くオダギリさんの脚本が、どう彩られているのか。おたのしみに。
映画『ある船頭の話』は9月、新宿武蔵野館ほか全国公開