『メリー・ポピンズ』エミリー・ブラント、泣かずには歌えないと思った曲
ディズニーのミュージカル映画『メリー・ポピンズ リターンズ』に主演した女優のエミリー・ブラント(『クワイエット・プレイス』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』など)が来日時にインタビューに応じ、一番のお気に入りだという楽曲「幸せのありか(The Place Where Lost Things Go)」について語った。
魔法が使えるナニー、メリー・ポピンズというアイコニックなキャラクターを演じるにあたり、「彼女の二面性をきちんと表現したかった」というエミリー。「メリー・ポピンズは厳しくて気難しく、ちょっとうぬぼれていたり失礼だったりもするけれど、人間的で優しく共感力がある。空も飛べるけれど、地に足がついている。その両面を演じることが大切だった。彼女の人間性が垣間見える瞬間を見つけることが大切、と監督とも話していたの」と振り返る。
そんなメリー・ポピンズの優しく繊細な一面を見ることができるのが、母親を亡くした悲しみから立ち直れないバンクス家の子供たちに、彼女が「幸せのありか」を歌うシーンだ。「これはわたしが最初に習った曲で、一番のお気に入りなの。この時のメリー・ポピンズは厳しさを脱ぎ捨て、子供たちに必要なものを見極めてそれを与えてあげる。『永遠になくなってしまうものなんてない、ただこの場に居ないだけ』というこの曲のメッセージはとてもピュアで、大人でも子供でも、喪失を経験したことがある誰もの慰めと希望になるはず」
そんな感動的な曲だけに、最初は作曲家たちに「泣かずにはこの曲は歌えない! どうやったら泣かずに歌えるの!?」と言ってしまったと笑ったエイミー。「でもラッキーなことに、実際の撮影で歌うまでに(ボイストレーニングやリハーサルなどで)1年半くらいあったから、体の一部になるくらい曲にすっかり慣れることができた」とは言うものの、実際に子役たちを前にすると、歌うのが難しいほどに感情的になってしまったそう。「撮影の日のことを覚えているけど、子供たちが素晴らしかったから、彼らの小さな顔を見ると気持ちが高ぶってしまって(笑)。この曲を歌うときに、彼らと自分の娘たちを重ね合わせないようにするのはとても難しかった。どうしても、娘たちが喪失を経験したらって考えてしまって」と2児の母としての優しい顔を見せていた。
「幸せのありか」は第91回アカデミー賞歌曲賞にもノミネートされている。(編集部・市川遥)
映画『メリー・ポピンズ リターンズ』は公開中