『カメ止め』ブルーリボン賞受賞 上田監督、次回作に「カットは割ります!」
『カメラを止めるな!』が第61回ブルーリボン賞作品賞を受賞し、6日、都内で行われた授賞式に上田慎一郎監督が登壇。国内で初めて作品賞を受賞した喜びや、次回作の展望を語った。
同作は、オーディションで選ばれた無名の俳優を起用し、超低予算の300万円という製作費ながら興行収入31億円を超える大ヒットとなったゾンビ映画。37分にわたるワンカットのゾンビ・サバイバルシーンなど斬新な演出が大きな話題となり、国内外の映画賞を席巻している。
上田監督は「両親が生まれる前からある歴史ある賞をいただいて本当にうれしく思っています」と笑顔でコメント。「ありがたいことにいろんな賞をいただいているんですが、国内では部門賞が多くて、作品賞をいただくのは国内初となります」と紹介すると、「作品賞に選びづらいんだろうなと思っていたので、とても勇気のある東スポ映画大賞の方々に……あっ、違うブルーリボン賞」と緊張でアワード名を間違いながらも、「感謝したいと思います」と喜びを表した。また、これまでの功績により「最近、スタッフ・キャストに追加報酬が出ました」とうれしいニュースも伝えた。
さらに、20代前半の頃に「be blue」、青くあれという意味のタイトルでブログをやっていたことも明かすと、「これから映画を作るにあたって、いろんな事情と戦いながら作ると思うのですが、初心の頃の青さは失ってはいけないと思っています。いつまでも転べる青い大人でいたい。勝手にそういう意味と受け取って、この賞をいただきたいと思います」としみじみと語った。
次回作にも期待が高まる中、上田監督は「オリジナルの脚本を書きます。次もワークショップをして新人の俳優たちと作ります」と、キャスティングは『カメ止め』同様であることを報告。しかし、長回しはしないそうで「カットは割ります!」と宣言していた。
同アワードは、東京映画記者会(在京スポーツ7紙の映画担当記者で構成)によって行われるもの。司会者は、前年の主演男優賞・主演女優賞を受賞したコンビが務めるのが恒例で、今年は阿部サダヲ(『彼女がその名を知らない鳥たち』)、新垣結衣(『ミックス。』)が大役を担った。(取材・錦怜那)
第61回ブルーリボン賞の受賞結果は以下の通り。
作品賞:『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督)
監督賞:白石和彌『孤狼の血』『止められるか、俺たちを』『サニー/32』
主演男優賞:舘ひろし『終わった人』
主演女優賞:門脇麦『止められるか、俺たちを』
助演男優賞:松坂桃李『孤狼の血』
助演女優賞:松岡茉優『万引き家族』『ちはやふる -結び-』
新人賞:南沙良『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』
外国作品賞:『ボヘミアン・ラプソディ』