『万引き家族』作品賞など最多8冠 是枝作品が2年連続の快挙
第42回日本アカデミー賞
第42回日本アカデミー賞授賞式が1日、港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、是枝裕和監督の映画『万引き家族』が最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演女優賞(安藤サクラ)、最優秀助演女優賞(樹木希林さん)など最多8部門を総なめにした。
同作は、万引きと祖母の年金で生計を立てる、あるワケあり家族の姿を通して、本当の絆とは何かを問う人間ドラマ。第71回カンヌ国際映画祭で最高賞となるパルムドールを受賞し、第91回アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされた。昨年9月に75歳で亡くなった樹木希林さんも出演した。
関係者を代表してブロンズを受け取った松崎薫プロデューサーは「ここにいらっしゃらない方も含めて、関わったすべての方に感謝しています。(樹木さんの代理で登壇した娘の内田)也哉子さんもいらっしゃいますけど、希林さんは日々『寒くて汚くて嫌だわ』とおっしゃっていたんですけど、うれしいご報告をしたいと思います」とあいさつ。
昨年も是枝監督の『三度目の殺人』が最優秀作品賞、最優秀監督賞など最多6冠を獲得しており、2年連続の快挙となった是枝監督は「撮影から長い旅をこの作品と一緒に続けてきましたけど、本当にいいラストを迎えることができました。ありがとうございました」と喜びをかみしめた。
父・治役のリリー・フランキーは「すごくつらいことも、人とのお別れもいっぱいありましたけど、この映画の魔法にかかっている間に楽しく過ごさせていただきました」とこの一年を述懐。その妻・信代役で最優秀主演女優賞を受賞した安藤は「まだたった一年とは思えないような、本当に濃い一年間でした。(城)桧吏、(佐々木)みゆ、やったねー!」と子役たちに呼びかけた。
信代の妹・亜紀を演じた松岡茉優は、コメントを求められるも涙が止まらず、「こういうとき、たいていものが浮かぶタイプの人間なんですけど、本当に浮かばない」としゃべることができず。安藤から「しゃべりなさいよ」と促されるも、「ありがとうございます」と言うのが精いっぱいで感無量の様子だった。
受賞結果は以下の通り。『孤狼の血』は最優秀主演男優賞(役所広司)、最優秀助演男優賞(松坂桃李)など、『万引き家族』に続く4部門で受賞を果たした。(編集部・中山雄一朗)
■最優秀作品賞
『万引き家族』
■最優秀アニメーション作品賞
『未来のミライ』
■最優秀監督賞
是枝裕和『万引き家族』
■最優秀主演男優賞
役所広司『孤狼の血』
■最優秀主演女優賞
安藤サクラ『万引き家族』
■最優秀助演男優賞
松坂桃李『孤狼の血』
■最優秀助演女優賞
樹木希林『万引き家族』
■最優秀脚本賞
是枝裕和『万引き家族』
■最優秀音楽賞
細野晴臣『万引き家族』
■最優秀撮影賞
近藤龍人『万引き家族』
■最優秀照明賞
藤井勇『万引き家族』
■最優秀美術賞
今村力『孤狼の血』
■最優秀録音賞
浦田和治『孤狼の血』
■最優秀外国作品賞
『ボヘミアン・ラプソディ』
■新人俳優賞
上白石萌歌『羊と鋼の森』
趣里『生きてるだけで、愛。』
平手友梨奈『響-HIBIKI-』
芳根京子『累 -かさね-』『散り椿』
伊藤健太郎『コーヒーが冷めないうちに』
中川大志『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』
成田凌『スマホを落としただけなのに』『ビブリア古書堂の事件手帖』
吉沢亮『リバーズ・エッジ』
■話題賞
作品部門:『カメラを止めるな!』
俳優部門:伊藤健太郎『コーヒーが冷めないうちに』
(※新人俳優賞、話題賞は最多受賞数に含まず)