ブラッドリー・クーパー×イーストウッド『運び屋』男たちの人生が交差する共演シーン
名匠クリント・イーストウッド監督が、実在した90歳の麻薬“運び屋”を自ら演じた映画『運び屋』から、イーストウッド監督と、共演のブラッドリー・クーパーとの共演シーンを収めた本編映像が公開された。
初監督作『アリー/スター誕生』がアカデミー賞にノミネートされ、監督としても注目を浴びるブラッドリー。イーストウッド監督とは、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた『アメリカン・スナイパー』(2014)でもタッグを組んだ仲であり、『アリー』もイーストウッドが監督する予定だった企画を引き継いだ作品。『運び屋』では、イーストウッドふんする主人公アールを追う捜査官ベイツを演じ、待望の“初共演”を果たした。
公開された映像は、アールと、まだ彼の正体を知らないベイツが、早朝のダイナーで遭遇する本編シーンの一部。前夜、謎の“運び屋”の逮捕に挑むも空振りに終わったベイツと、自分を追う捜査官と知りながら、あえて彼のそばに座るアール。無言のままの2人だが、今日が家族の記念日であることに気づいたベイツが悪態をつくと、アールは「もしかして…、誕生日でも忘れたのか?」と声をかける。
アールは、仕事一筋に生きてきたが、その結果、家族に愛想を尽かされ孤独に暮らす老人。そんな自分と、昇進のために家族を顧みず働くベイツを重ねたのか「家族のことも考えろ。記念日は大切だ。俺は記念日を忘れてばかりいたんだ」と諭す。さらに「俺みたいになるんじゃないぞ」「一人娘は俺と12年半も口をきかない。最悪だよ。12年半も…」と続けるアールの言葉は、自分に言い聞かせているかのよう。正反対の立場でありながら、現在を過去を象徴するような、2人の男の奥深いドラマを予感させる。
同作にはそのほか、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィースト、アンディ・ガルシア、タイッサ・ファーミガなど実力派俳優が出演。さらにアールの娘を、女優でイーストウッドの実娘アリソン・イーストウッドが演じるなど、イーストウッドの人生を反映したかのようにも思える珠玉の一本だ。(編集部・入倉功一)
映画『運び屋』は3月8日より全国公開