ピーター・ジャクソン監督にファンレターを送って映画界に入った少年の現在!
“移動型の都市が小都市を捕食する”世界を舞台にしたファンタジー映画『移動都市/モータル・エンジン』で長編監督デビューを果たしたクリスチャン・リヴァーズがインタビューに応じ、25年にわたるピーター・ジャクソン監督(『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなど)との関係について語った。
【動画】都市が都市を喰う!『移動都市/モータル・エンジン』冒頭9分間映像
リヴァーズが映画界に入ったのは、ティーンの頃、ジャクソンにファンレターを送ったことがきっかけだ。同封したのは、自分で描いたドラゴンの絵と彼の下で働きたいという言葉。その絵に感銘を受けたジャクソンは、彼をストーリーボードアーティストとして雇うことに決め、現在まで続く二人の関係が始まった。
「僕は、18歳から映画業界で働き始めた。ピーターが小規模な映画を作っていたころだ。彼はいつも僕に寛大で、僕も彼の助けになろうと努め、スキルを増やそうとしてきた」と振り返るリヴァーズ。「彼の映画の規模が大きくなるにつれて、僕がやることも大きく、バラエティーに富むようになっていった」といい、実際『キング・コング』ではアカデミー賞視覚効果賞も受賞した。
長年共に働いているからこそ、二人の間には阿吽の呼吸がある。「例えば、ストリーボードを描くとき、僕たちは部屋に腰を落ち着け、1日8~10時間、ショットについて語り合い、僕は絵を描いて彼に見せるんだ。ある意味、ピーターの映画についてのビジョンを彼の頭から、最初に直接得るのは僕なんだよ。ピーターとは、とても親密なクリエイティブな関係が築けていると思う」
そして、ジャクソンが長年温めてきたイギリス人作家フィリップ・リーヴの小説「移動都市」の映画化作品である本作で、長編監督デビューを果たすことになった。「彼はいつもこういうことをするんだ(笑)。僕の最初の仕事になった『ブレインデッド』の時も、僕にできるのは絵を描くことだけで、ただ彼と仕事をしたいと切望する10代の少年だった。学校なんかでイラストレーターとしての訓練を受けたこともない。だけど彼は僕にこの仕事ができると思ってくれ、実践の場に放り込んだ。今回と全く同じなんだよ(笑)。『ホビット』シリーズや『ピートと秘密の友達』ではセカンドユニットの監督をやったけど、短編映画しか撮ったことがなかった。だけど彼は『オッケー、やってみたい?』と言って、僕をそこに放り込んだんだ」
ファンタジー大作での監督デビューに初めは恐怖を感じたと笑うリヴァーズだが、「何だって!? そんな!」と驚いたりはしなかったという。「なぜ彼が僕に監督をするように頼んだのか、その理由はわかっているんだ。彼はクリエイティブな面でこの作品にちゃんと関わりたかったんだよ。彼は自分からこれを取り上げて、隠れてやるような人に渡したくなかったんだ。だから、僕がふわさしかったんだ。この映画は僕とピーターとフラン・ウォルシュとフィリッパ・ボウエン(製作・脚本)の2年間のコラボレーションの結果なんだ。ほいって渡されて、2年後に『できたよ』と見せたわけじゃない。彼らは本作に深く関わっているんだ」と長年にわたる仲間たちと作り上げた初監督作に自信を見せた。(編集部・市川遥)
映画『移動都市/モータル・エンジン』は公開中