勝地涼、大河では“全髪クネ男”!朝ドラに続き宮藤官九郎脚本で強烈キャラ
日本人初のオリンピック挑戦を終え、新展開に突入した大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(NHK総合・日曜20時~ほか)。宮藤官九郎脚本らしく、回が進むごとに登場人物がより立体的に描かれ、愛着を増していく。そんななか、一たび見たら癖になりそうなキャラクターが、勝地涼演じる美川秀信(みかわ・ひでのぶ)だ。
美川は、本作の主人公で、日本人で初めてオリンピックに出場したマラソンランナー、金栗四三(かなくり・しそう/中村勘九郎)の幼なじみという設定。四三の中学時代の同級生で、ともに東京高等師範学校に合格して上京した。登場シーン自体はそれほど多くはないものの、四三に向かって「金栗氏~」と近づいていく姿はインパクト大だ。勝地は、撮影に入る前に熊本で美川さんの親戚の方に会った際、「自由にやらせてもらってもいいですか?」と提案。すると「どうぞ、どうぞ」と二つ返事で快諾され、美川という役を大胆に作っていけたという。また宮藤の脚本に、美川の人間的な面白さが感じられるエピソードが多く盛り込まれていたようで、「思い切り楽しんでいいんだ」と背中を押された。
ビジュアル面では、美川の丸メガネ&クルクルパーマの髪型にも注目が集まった。宮藤&勝地と言えば、宮藤が監督、脚本を務めた映画『少年メリケンサック』をはじめ数々の作品で組んでいるが、中でも強烈なインパクトを残したのが、2013年放送の連続テレビ小説「あまちゃん」の“前髪クネ男”ことTOSHIYA役だ。
「美川がパーマになるまでにはいろいろ試行錯誤があったんです。四三さんが丸刈りだったので、コントラスト的にはいいのかな……とか。特に『あまちゃん』は意識していなかったのですが、放送が始まるとスタッフから『前髪クネ男じゃなく、全髪クネ男だね』と言われたんです。『なるほど!』と思いました(笑)」
放送が始まると、三島弥彦(みしま・やひこ/生田斗真)率いる天狗倶楽部の個性的な面々と同様、美川も大きな話題に。勝地は、生田に三島と美川の反響が大きいことを連絡すると、一言「なっ」という返信があったそう。「いつも冗談で、僕と斗真くんは『どちらが宮藤さんに愛されているか』で競り合っているんです。お互い『俺の方が愛されてる!』って言い合っています(笑)」
勝地にとって本作は、非常に思い入れが強い「大河ドラマ」だという。以前、中村座の芝居を観た勝地は、中村勘九郎や七之助の発声方法や集中力などを含めた表現力に圧倒され、「年下が言うのもおこがましいかもしれませんが、同じ時代に生きているのだから、いつかこの人たちとお芝居をやらなければいけない」という強い思いが胸に去来した。それが現実になった現場は、勝地にとっては、筆舌に尽くしがたい時間のようだ。
熱い思いと「チャレンジ」する気持ちで演じている美川は、浅草で出会った遊女・小梅(橋本愛)との恋模様もあり、なかでも第18回(5月12日放送)では、大きな盛り上がりを見せる。「橋本さんはあまり現場から離れないタイプなので、自然と一緒にいられるというか、メイク室でも僕がポロっとセリフを言うと続けてくれるような人。すごく居心地がいいし、思い切りもいい。ビンタされるシーンも、テストから思い切り引っぱたいてくるのですが、僕はそういうタイプの方がやりやすいので楽しかった」と相性の良さをうかがわせる。
来年は東京オリンピックが開催される。勝地は自身が出演した大河ドラマ「八重の桜」(2013)の撮影を振り返り「ちょうどあのころ、東京でオリンピックが開催されることが決定したんです。そのとき共演者の玉山(鉄二)さんが『オリンピックを子供と見るのが楽しみなんだ』という話をされていたんです。僕は『(東京オリンピック開催時に)子供いるかな~』なんて言っていたのですが、実際子供を持ったので、すごく感慨深いですね」と笑顔で語っていた。(取材・文:磯部正和)