アニエス・ヴァルダ監督が死去 90歳 ヌーベルバーグを代表
ヌーベルバーグの一線で活躍し、女性監督の先駆者とも言われたフランス映画界の名匠アニエス・ヴァルダ監督が亡くなったと、29日にVarietyほか各メディアが報じた。90歳だった。ヴァルダ監督は同日に乳がんのためパリの自宅で亡くなったとのこと。同サイトに寄せられた家族の声明によると、家族と友人に囲まれて息を引き取ったという
ヴァルダ監督は1928年、ベルギーのブリュッセルに生まれ、1940年に第二次世界大戦を逃れ家族で南フランスに疎開。1950年代に、まずはカメラマンとして活躍し、1954年に初監督作品『ラ・ポワント・クルート(原題) / La Pointe-Courte』を手掛けた。
フィクションとドキュメンタリー双方の作品を多数発表し、『5時から7時までのクレオ』(1961)はカンヌ国際映画祭に出品、『幸福(しあわせ)』(1964)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。『冬の旅』(1985)はベネチア国際映画祭金獅子賞に選ばれた。そのほか『カンフー・マスター! 』(1987)、『百一夜』 (1994)などを発表している。
1962年に『シェルブールの雨傘』(1963)などで知られるジャック・ドゥミ監督と結婚。息子のマチュー・ドゥミは俳優になった。
2015年にカンヌ国際映画祭パルム・ドール名誉賞、第90回アカデミー賞では名誉賞を受賞。昨年には、アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞にノミネートされた、アーティスト・JRとの共同監督作『顔たち、ところどころ』が日本公開。「フランス映画祭2018」に参加するため6月に来日予定だったが、健康上の理由により中止となっていた。(編集部・入倉功一)